第6話 貴族のパーティー
アクアは俺の言葉を聞いて険しい顔をした。
「貴方、お名前は?」
「私はミロードと申します」
「ではミロード、執事が伯爵家令嬢に向けた言葉としたならば、聡明な貴方ならば今後どうなるかご存知ですわよね?」
俺はにこやかに微笑みながら、
「わかりかねます。アクア様の最初の発言が心からの言葉であるならば…ですがね」
「なるほど、成人した貴族は自身の言葉に誇りを持てと言う格言を保護しての自信の表れですわね。貴方やはり面白いわね」
「有り難うございます」
「よかったら、家で働かない?」
その言葉を聞いたバーバラが驚き言葉を発する。
「ア、アクア様?」
「ダメかしら?」
伯爵家令嬢に望まれるなら本人のためにもなると考えたバーバラはこう言うしかなかった。
「本人が望むのなら…」
それを聞いたアクアは妖艶な笑みで俺を見つめてきた。
「どうかしら?」
「お誘いは嬉しいのですが、今年学園を卒業後は冒険者になる予定ですので」
「あら、私の執事としてなら給金も弾むわよ」
「申し訳ございません。冒険に憧れていますので」
「そう。あ、なら私の街で冒険者になりなさいよ。村の冒険者ギルドでは依頼も少ないでしょうから、水の都サンターナに来ない?」
俺はその言葉に反応した。
水の都かー、村の冒険者ギルドは一度覗いて見たがお手伝いなどの依頼か低レベルの魔物討伐しかなかったしな。人も少ないし、今いるサンターナの街の方が便利そうだしな。
「是非と言いたいところですが、まだまだ準備費用を貯めている段階なので、すぐには難しいかと」
「私が言った手前、そのくらいはだしてあげるわよ」
その言葉を聞いた俺は目を輝かせ、
「ほ、本当ですか。あー、女神のように美しいアクア様、是非宜しくお願いします」
「今までの対応と違って、何か褒められている気がしないのだけれど…、やはり辞めようかしら」
「そ、そんなー」
「嘘よ。貴方といると楽しいわね」
こうして三人で話していると他の貴族も話かけに来た。
俺は後ろに下がり執事らしく振る舞うのだが、そんな俺を見てアクアはムッとしている。
「今日も一段とお綺麗ですね、アクア嬢」
「有り難うございます、イノセント殿」
「お互い伯爵家の子供とあって、いろいろな今後の話を向こうでどうですか?」
「そうね、あ、よかったらバーバラ嬢もご一緒にいかがですか?」
アクアに話を振られて焦るバーバラ。
「そ、そんな、私なんかが…、お二人でお楽しみ下さい」
イノセントは満足気に胸を張っている。
「よく弁えているではないか。さぁ、アクア嬢こちらへ」
アクアは考え込んだがしぶしぶついていく。
「ホッ、なんで私のところに伯爵家の子息達が集まるのよ。ビックリするじゃない」
「イジメられるよりはマシなのでは?」
「そ、それはそうだけど」
「それはそうとミロードは卒業後はサンターナで冒険者をするの」
「そうですね。ただ、今後の話が中途半端に終わったのでどうなることやら」
そんな話をしていたらアクアが戻ってきたと思ったら俺の手を引っ張って先程の貴族の場所に連れていかれた。
そして、連れていかれた瞬間、何故か伯爵家の子息のイノセントに殴られた。
「私がこんな執事よりも劣ると言うのか?」
イノセントは怒り狂っているようだ。
「ええ、話相手と言う一点だけならばね」
「少し顔がいいからといって調子に乗るなよ。同じ伯爵家同士とあってもただじゃおかないぞ。そこの執事も同じくな」
いってぇー、口の中が血の味がする。これはステータスに差があり過ぎるだろう。
てか俺の顔はこの世界では顔がいい方なのか?
紫の髪に青の瞳。すこし伸びきった髪を執事として無難にオールバックにしている。
そんなことを考えていても言い争いは続いている。
「ただの言葉遊びに無気になり、脅しや暴力なんて器が小さいわねー。執事君も何か言ってごらんなさい」
「そんな無茶ぶりはお断りしております。向こうに帰ってもいいですか?」
「おい、俺を無視か?帰すわけねぇだろう。決闘だ」
「あ、あのー、私みたいな雑魚じゃ相手になりませんので時間の無駄遣いになりますがいいのですか?」
「ああ、俺の腹がおさまらねぇ」
「そうですか。私もまだ死にたくないのでルールを一つ決めてもいいですか?」
「なんだ?」
「戦闘不能、もしくはギブアップをしたら負けと言うことでどうでしょうか?」
「まあ、いいだろう」
こうしてお披露目会にて前代未聞の貴族の子と執事の決闘が始まるのであった。
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