第3話 異世界転生

意識が飛んで、気付けば崖の下で横たわっていた。


その瞬間今までの人生全ての記憶が頭に入ってきた。


あまりの情報量に頭がガンガンと痛みだす。


次第に痛みは治まり、今の現状を把握できた。


なるほど、簡単に言えば農民の子供として産まれ、神の加護とも言えるスキルは訳の分からぬ役立たずと思われるまぜるのスキルを授かり、親は魔物に殺され人生に絶望した挙句、15歳の成人を迎える誕生日に学園で盛大なイジメの末自殺。


自殺した結果、魂が消滅する前に俺の記憶と共に転生させた感じかな。


確かに権力も人脈もお金もない場所でイジメられているド底辺からのスタートならマイナススタートなのかもな…。


ただ、奴隷スタートではなくて良かったとつくづく思う。


さらには今の現状は置いといて、言葉も解る上に基本的知識もあることから破格のスキル?の割には優しいな。


そんなことを考えながらふとステータスと言う言葉が頭によぎった。


口に出しステータスと言うと白い空間と同じように透明なビジョンが現れた。


・ステータス

名前:ミロード

性別:男

年齢:15歳

種族:人族

スキル:≪まぜる≫≪状態異常無効≫

ユニークスキル:≪虹の指輪≫


そう、最後に選んだスキルは運上昇系と思われる装備系のスキルだ。

女神はスキルを一つ選べと言ったので、装備品の名前があるのは可笑しいと考え、最悪の状況も踏まえて最低でも運が上がりそうな装備を選んだと言う訳だ。


このユニークスキルのおかげかは解らないが最悪のケースは回避できた。


しかし、魔物が蔓延る世界で魔法も何も習得していない状況は流石にマズイ。


そんな状況を打破する案を考えながら家路へと向かう。


家に帰宅すると孤児院のロゼッタが心配そうに駆け寄ってきた。


「大丈夫?何処もケガしてない?」


「何ともないけど、どうしたの?」


「ミロードが思いつめた顔で出て行ったから心配だったのよ」


「あー、学園卒業後をどうしようか迷っていたからね」


「何かしたいことがあるのかい?」


「うーん、出来れば父さん達のように魔物で命を落とす人を減らしたいと考えているんだ」


「ミロードの考えは立派だけど冒険者は本当に危険よ」


「大丈夫、僕にはユニークスキルがあるからね。それに僕が臆病者なの知ってるでしょ?」


「だから心配なのよ。そんなミロードが上手くやっていけるか…」


「もし上手くいかなかった時は孤児院に戻って手伝うからすこしだけ挑戦させて」


「そこまで言うなら…」


ロゼッタはしぶしぶ了承してくれた。



翌日俺は目を覚ますと硬いパンを食べながら学園へと向かった。


ほんと食事だけはどうにかしてほしい。


俺が教室に入るなり声が聞こえてくる。


「まだ死んでないのかよ。二度と俺達の前に顔を出すなって言ったよな」


「早く死んでこいよ」


「お前のせいでみんなウンザリなんだよ」


上から順にイーサン、ジューク、メンシルが声を発した。


まあ、いつものように俺を罵る声が聞こえるのだが、気にせず席に座った。


その態度が気にいらなかったのか、俺の隣りの席を蹴飛ばしながら威嚇してきた。


「おい、俺達を無視するとはいい度胸だな」


そう言うなり胸ぐらを捕まれ脅される。


「あっ、僕に話してたのイーサン君?」


「てめぇー、なめてるのか?」


イーサンの顔が真っ赤となり、誰もが怒っているのが分かる。


そんなイーサンに俺が返事をしようとした時、真っ赤な髪を靡かせながら一人の女の子が割って入ってきた。


「それぐらいにしたら?後、私の友人の机を直してくれないかしら?


その女の子を見るなりイーサン達は退散して行った。


俺も今までの情報を思い返しながらお礼を言う。


「これはこれはバーバラ嬢、お助けいただき有り難うございます」


「貴方のためじゃないわ、勘違いしないことね」


「えぇ、えぇ、もちろん貴族としての誇りですよね」


「貴方、私をバカにしてる?ってか、貴方少し変わったわね?」


男爵令嬢のバーバラは、いつものオドオドした俺の雰囲気が変わったことに気付いた。


「僕は気付いただけですよ。死ぬことよりも怖いことはないと…。」


「そう、すこしはいい顔になったじゃない。今の貴方は面白そうね、後日詳しく教えなさい」


そう言い終わると同時に授業開始の鐘の音がなった。








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