第2話 スキル

女神の言葉が全員に疑問符を抱かせる。


「おい、地獄の謳歌ってどう言う意味だ?」


「そんなに凄んだってダメですよ。ただで願いが叶うはずないでしょ。自らの手でって言ったでしょ」


「だからどう言う意味だ」


ハーレムの男はもの凄い剣幕で問いただす。


「頑張れば余裕で手に入るけれども努力しないと手に入らないと言うことよ。まあ、もちろん願望した願いの割合に対して大変さも変わるけどね」


ここで車椅子の女性も質問する。


「健全な体で転生するのならば私の願いは叶うのよね?」


「貴方の願い程度なら転生条件にて適うでしょうね。ただ、もしも健全な体を手に入れたとしても空腹の状態で走り回る元気があるかしら?あ、ヒントを与え過ぎたわね、これで質問はお終い」


納得のいかない者が叫んでいるが、女神は睨みつけるだけで静かにさせる。


「それでは次に移りましょう。次と言っても最後ですがスキルについてのお話しですよ。まず一つ目のスキルは貴方達の願いに纏わるスキルを手にします。二つ目は貴方達が生きてきた人生に反映したスキルが手に入ります。最後の一つは今までの経緯を踏まえてスキルを今から選んで下さいね」


そう女神が言うと目の前に透明なビジョンが現れ、プロフィールとスキル一覧が表示されている。


「この時空の場所で長居はできないので、10分以内に決めて下さいね。スキルを決めることなく10分経つと自動的に転生されるので悪しからず」


そう言い残して女神は消えていった。


周りの人達は女神なんて気にせず、焦りながらスキルを選んでいる。


女神が去ったのを確認しビジョンに目を通す。


プロフィール

名前・エラー

性別・男

年齢・エラー

種族・人族

スキル・≪まぜる≫≪状態異常無効≫≪???≫


スキル一覧

・火魔法・水魔法・土魔法・風魔法……。

…………………………………………………

…………………………………………………

・雷鳴剣・グングニル・反射の楯・金色のネックレス・魔力の指輪…


スキル一覧には魔法から経験値UP系のスキルまで多種多様で記載されている。

最後までスクロールすると武器と思われるものまで記載されていた。


プロフィールとスキル一覧を見ながら俺は考え込む。


まず、状態異常無効については俺の無関心や靡かない心がこのスキルに変換されたのだろう。


次に女神が与えてくれたヒントを元に考えると願望を望む上でデメリットの状況が度合に応じて発生すると考えられる。


仮にハーレムを願望した者の場合、容姿が不細工になるとか?


いやいや、それだと顔が今のままでは…って、この今の状態で転生するとは言ってないか。


仮に不細工となっても権力やお金でハーレムを作ることが出来るので、頑張ればって意味合いを考えれば一致する。

異世界では一夫多妻制が望まれているのなら、あの男の願望の度合いならそんなに酷いデメリットにはならないのかもな。


それで言うなら俺の願望はなんだ?


まぜるの文字をずっと眺めていると説明文が表示された。



・まぜる

物を混ぜることができる。干渉するものをまぜることができる。


なるほど、俺は何かとまぜたいと思っていたのか…。

…って、んなわけあるかーーーーーー。

ここにちゃぶ台があればひっくり返していただろう。


それはそうと何故ひらがななんだろう。


ちなみにまぜるのデメリットって何…?


最悪の場合を考えているとハッと気付いた。


その考えが頭をよぎった時、血の気が引いて顔が青ざめた。


最悪の場合を想像した時に二つのことが頭によぎったが、よく考えると一つに絞られた。


一つはデバフのようなスキルかなにかを授かること。


まだこの場合はデバフを無効化できるようにアイテムやスキル獲得に励めば…って、もともと俺は状態異常無効のスキルを持っているから気にすることはないか。


ただもう一つの可能性だけは絶対に辞めてくれと説に願った。


そう、もう一つの可能性とは奴隷スタートなどでスキルを使えない、または手の欠損などでまぜれない環境にいることだ。


日本人の生ぬるい生活をしていた俺が奴隷からスタートした場合心と体がついていけないだろう。


ただ俺自身がまぜることを熱望した記憶がないことも踏まえると最悪のデメリットではないと信じたい。


それらを逆算して俺はスキルを決めようとしたがどうしても奴隷の二文字が頭にちらつく。


人間不安になるとそればかりを考えてしまう。

最初から躓くことは出来ないので運上昇系のスキルにしようと考えた時に俺は閃いた。


この解釈が当たっているか解らないが、数あるスキルの中からあのスキルを選び賭けにでた。


選んだ瞬間に転生まで残り5分と言う文字が現れた。


そして5分後、体が宙に浮くような感覚となり視界はブラックアウトした。



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