第70話 ダリアの花
就職の儀を終え、無事魔法使いとなったレイ。
彼女の父の職業である魔法使い。
その人は凄い実力の持ち主であったようだが、きっとレイはそれを超える魔法使いとなるだろう。
成人となったレイのステータスを確認する。
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レイ=アシュリー(魔法使い)
レベル41 状態:健康
HP : 420/420
MP : 500/500
攻撃力 : 50
魔法力 : 450
防御力 : 50
魔法防御 : 90
かしこさ : 350
素早さ : 70
器用さ : 300
スキル : 魔法質向上
上級魔法解放
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魔法使いの恩恵もあり、もはや魔法力は俺に迫る数値を叩きだしている。
最近はいろいろなことにも挑戦しているからか、かしこさと器用さもグンと上昇している。
防御力に関しては今まで通り低値なのでしっかり守っていかないといけないな。
魔法に関しては俺もそのうち抜かされるのではないかという危機感がある。
なにせ、魔法の才に加えて上級魔法が使える様になったのだ。
まあそれはそれで喜ばしいことではあるが、なんとも尖ったステータスだ。
しかしこのような凄い魔法使いが誕生したかもしれないというのに、レイにはまだ殆どの人が関心を抱かない。
それはきっとこれからになるのだろう。
「ふむ、大人になるとはそういうことか。なるほど確かに力が増した感じがするのぅ」
「そうかしら」
ファフニールの言葉に満更でもない様子のレイ。
「我ほどではないがな!」
「そうね、ファフニールは強い強い」
「むぅ……なんじゃその適当なのは、もっと讃えよ!」
言わんでもいいことを言うからそうなる、と思いながらもなんだか微笑ましく思う。
きっとファフニールもレイもこういう会話がお馴染みなのだろう、2人とも少し笑っている様に見える。
♢
「ん、これは」
『母さんの誕生日には一度帰ってきなさい』
父さんからの手紙がギルド経由で届いた。
そういえば去年は祝ってあげられなかった。
冒険者になったばかりで忙しい時期であったが、今思うととても本当に悪いことをしてしまったと感じる。
家を購入したのも伝えれていない。
ギルドに手紙を送らせてしまったことにも謝罪をしないといけないな。
母さんの誕生日は1週間後に迫っている。
今年は去年の分も祝ってあげたい。
「2人とも、ちょっといいかな?」
リビングでくつろいでいるところに話を持ち込む。
「なに?」という感じで首をこちらに向ける2人。
「実はね――」
俺は母さんの誕生日のことを2人に話す。
積もる話もたくさんある。
当然この2人の話が多い。
レイはドラゴン討伐の際に領主廷で顔を合わしているが挨拶はまだ。
ファフニールに至っては会ったこともない。
ならばこの2人も家に招いて紹介しようと思うのだ。
「いいわよ。是非挨拶させてほしいわ」
「おう! 主人の両親ならば挨拶しないわけにはいかぬじゃろ!」
2人とも快諾してくれる。
良いパーティに恵まれたとしみじみと感じた。
「なら花を買いに行かなくちゃね」
花か、確かに誕生日プレゼントにいいと思う。
流石はレイ、こういうのは女の子の方が気が回るな。
「じゃあ一緒に選んでくれるかな?」
「ええ、良いわよ」
これで良いプレゼントができそうだ。
もちろん俺自身も一緒にしっかり選んでありったけの心を込める。
「我は食べ物がいいぞ!」
「あなたのプレゼントじゃないのよ」
「むぅ」と膨れるファフニール。
そういえばドラゴンに誕生日はあるのかと気になり聞いてみたが、どうやらそんなものはないし日付という概念もないらしい。
「ならロビンと会ったあの日を誕生日にしたら? そうしたら誕生日に食べ物をプレゼントしてあげるわ」
「そうじゃな! では我の誕生日は主人と契約した日にするのじゃ!」
そんな適当でいいのか? とは思うが本人が堂々と言い放つのでいいのだろう。
「じゃあ、早速だけどプレゼント買いに行ってもいいかな?」
「ええ、行きましょ」
まだ日はあるがそわそわしてしまう。
花なので買うのは当日だけど選ぶのは早くても良いだろう。
♢
「これなんてどうかしら」
花屋にてレイが指をさす。
綺麗な白い花だ、一輪でも存在感がある。
「誰かにプレゼントですか?」
そう聞いてくるのは花屋の店主さん。
花を見てプレゼントだと察したみたいだ。
「ええ、母の誕生日に」
「それは良いですね。この花はダリア、特に白いダリアには『感謝』や『豊かな愛』という意味がありますよ」
店主さんが教えてくれる。
感謝、豊かな愛か……いいな、ちょっと照れくさいけれど自分の気持ちとピッタリだ。
レイは宝石もそうだけど花言葉なんかもよく知っているみたいだ。
「それじゃあこれにしようかな」
「そんなにあっさり決めちゃっていいの?」
「うん、ぴったしだよ。それにとても綺麗な花だし。選んでくれてありがとう」
花を見てふと母さんの顔を思い浮かべニヤけてしまう。
「気に入ってくれたのならよかったわ」
レイの顔が少し赤くなったと思ったのはこの白い花の隣に映るからか。
綺麗だな、花も、そしてレイも。
「決まったのなら飯にするのじゃ! 我はお腹が空いたぞ!」
と見惚れていたのにムードを壊される。
「はいはい、帰って作るのも時間がかかるし今日は食べに行ってもいいかしら?」
「うん、行こうか」
さて、後は当日に受け取って渡すだけだ。
母さんどんな反応してくれるかな、想像通りの反応だと嬉しいな。
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