死神も笑つてゐるか花のかげ

【読み】

しにがみもわらつてゐるかはなのかげ


【季語】

花のかげ(花の陰)


【大意】

死神も笑っているだろうか。サクラの花の陰には。


【付記】

梶井基次郎(1901-1932)はその散文詩のなかで、サクラの樹の下には死体が埋まっていると言ったと伝え聞く。その俗説を受けたものであることは言うまでもあるまい。自画自賛になりかねないが、このような句を見た瞬間に、病魔のために夭逝した故人を思うひともあろうかと思う。


墓の下・あの世を「草葉の陰」と表現することもここに付言したい。

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