いたちなど過るべらなりぼけの花

【読み】

いたちなどよぎるべらなりぼけのはな


【季語】

ぼけの花(木瓜の花)〈春〉


【語釈】

べらなり――活用語の終止形、ラ変型活用は連体形に付く。状態の推量を表す。……ようだ。……ように思われる。

[デジタル大辞泉]


ぼけ――バラ科の落葉低木。高さ約2メートル。枝にとげがあり、葉は楕円形で縁にぎざぎざがある。春、葉に先だって、紅・淡紅・白色や絞りの5弁の花が咲く。実は球状で夏に黄色に熟し、香りがある。中国の原産で、庭木にされる。ぼっか。もけ。

[デジタル大辞泉]


【大意】

イタチなどが過るように思われる、ボケの花さく垣根である。


【付記】

イタチもボケも今の人にはやや馴染みがなかろうか。イタチはネズミを捕るらしいが、その割には有難がられていないようにみえる。ニワトリを襲うためであろうか。いずれにしても、標題の句はのどかな春の様子をよんだものである。


ボケの花は多くが3月から5月ころに咲き、ウメに似るという。


なお、「いたち(鼬)」は冬の季語。イタチには「よぎる」という動詞がよく似合うと思う。


【例句】

うづらともならで花野のいたち哉 也有やゆう


出女の出がはり時や木瓜の花 露川ろせん

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