琴の音や王都のつきのかすむとき

【読み】

ことのねやわうとのつきのかすむとき


【季語】

かすむ(霞む)〈春〉


【大意】

王都の月がかすむとき、琴の音色がひびくのであった。


【付記】

実際には「朧月」を読んでいるが、便宜上「霞む」を季語とした。細かいことを言うと、前者が「季題」で後者が「季語」であり、俳句には季題が必要とわたしは理解している。


【例歌】

冬過ぎて春来るらし朝日さす春日の山に霞たなびく 作者不詳

春霞飾磨しかまの浦をこめつればおぼつかなしやあまのつりふね 藤原公実ふじわらのきんざね

はつせやまかたぶく月もほのぼのとかすみにもるるかねのおとかな 藤原定家

み冬つぎ春しぬれば青柳の葛城山かつらきやまにかすみたなびく 源実朝

をしなべて春はきにけり筑波嶺つくばねのもとごとにかすみたなびく 同


【例句】

雪ながら山本霞む夕かな 宗祇そうぎ

春なれや名もなき山の薄霞 芭蕉

つぶつぶと梅咲かかる霞かな 尚白しょうはく

昼の鐘箒木ははきぎきゆる霞哉 仙化せんか

望汐もちしほの遠くも響くかすみ哉 召波しょうは

紅梅こうばいに霞そめたる軒端哉 樗良ちょら

菜の花やかすみの裾にすこしづつ 一茶


散る花や鳥も驚く琴の塵 芭蕉

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