花見へとてふと連れだつ歩みかな

【読み】

はなみへとてふとつれだつあゆみかな


【季語】

花見・てふ(蝶)〈春〉


【大意】

花見に行くと、チョウと連れ立って歩くのであった。


【付記】

遠足は家に帰るまでが遠足だという。それを援用すると、花見は家を出てからが花見といったところである。


【例歌】

が夢を出でてきぬらん桜花匂へる園に遊ぶこてふは 樋口一葉


【例句】

みよし野は右往左往の花見かな 貞室ていしつ

一僕とぼくぼくありく花見哉 季吟きぎん

京は九万くまん九千くせんくんじゆの花見哉 芭蕉

花見にと指す船遅し柳原 同

夜ざくらや太閣様のさくら狩 園女そのめ

善悪の友ある花見もどりかな 也有やゆう

さくら狩り美人の腹や減却す 蕪村

傾城けいせいのちの世かけて花見かな 同


世の中よてふてふとまれかくもあれ 宗因そういん

蝶も来て酢を吸ふ菊のなます哉 芭蕉

聖堂に拱く蝶のたもとかな 其角きかく

夕日影町半まちなかに飛ぶこてふかな 同

猫の子のくんずほぐれつ胡蝶かな 同

大原や蝶の出てまふ朧月 丈草じょうそう

永き日や蝶とつれだつ勢田の橋 朱廸しゅてん

四国路しこくぢに蝶も渡るや花曇り 紫道

蝿が来て蝶にはさせぬ昼寝かな 也有

蝶飛ぶや腹に子ありてねむる猫 太祇たいぎ

釣鐘にとまりて眠る胡てふかな 蕪村

うつつなきつまみごころの胡蝶哉 同

物や思ふいはでも花に蝶黄なり ふぢ

みじか夜や三味せん草に蝶のかげ 巣兆そうちょう

木の陰や蝶と休むも他生の縁 一茶

帋漉かみすきにうるさがらるる小てふ哉 同


日の春をさすがに鶴の歩み哉 其角

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