春風や姉妹のごときひとふたり

【読み】

はるかぜやしまいのごときひとふたり


【季語】

春風〈春〉


【大意】

春風に、姉妹のようなふたりが吹かれていることである。


【付記】

「まるで姉妹のよう」といえば、ほんとうは姉妹でない含みがある。しかし、歳がある程度ちかそうな女性ふたりが姉妹かどうかを一見して判別するのは、常人に困難を極めそうなものである。


【例歌】

しら雲のたえまになびくあをやぎの葛城山かつらきやまに春風ぞ吹く 藤原雅経

おくれては母のあと追ふをさな児のおさげの髪に春の風吹く 木下利玄


【例句】

春風に白鷺しらさぎ白し松の中 来山らいざん

村竹に虎の欠伸あくびや春の風 嵐雪らんせつ

春風や湯女ゆなの笹原わけてん 許六きょりく

春風や堤長うして家遠し 蕪村

春風や動くともなきとびの羽 嘯山しょうざん

難波女なにはめの懐寒し春の風 うめ

春風に箸をつかんで寝る子哉 一茶

春風や女も越る箱根山 同

細長い春風ふくや女坂 同

布さらすかはらわたるや春の風 夏目漱石

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