紅梅にめじろの来鳴く春日かな

【読み】

こうばいにめじろのきなくはるびかな


【季語】

紅梅・春日〈春〉


【大意】

紅梅にメジロが来つつ鳴く春の日である。


【付記】

「めじろ(目白/眼白)」は夏または秋の季語のよし。したがって一句に季語が3つも入っていることになる。このような詠風は手本にしないのが良いかもしれない。とりわけ下五は改善の余地があるか。


メジロは白梅より紅梅に多いイメージが、わたしにはある。


【例歌】

うらうらに照れる春日にひばりあがり心悲しも独りし思へば 大伴家持

むらぎもの心楽しも春の日に鳥のむらがり遊ぶを見れば 良寛


【例句】

紅梅やかの銀公がからごろも 貞徳ていとく

紅梅や見ぬ恋つくる玉すだれ 芭蕉

紅梅やかの銀閣寺やぶれ垣 沾徳せんとく

紅梅や月を捨行すてゆくあけがらす 野坡やば

紅梅や古き都の土の色 蕪村

紅梅や檜垣崩れておぼろ月 暁台きょうたい

紅梅に睡れり衛士ゑじの又五郎 几董きとう

紅梅にあれゆく猫のゆくへかな 士朗しろう

紅梅や家内そろふて京訛きやうなまり 蘇山人そさんじん


まん丸にいでても長き春日かな 宗鑑そうかん

春の日や日永の宿しゅく霞酒かすみざけ 秀吉

長々として便なき春日かな 浪化ろうか

春の日やかど行く梵論ぼろの影法師 蓼太りょうた

春の日のつるつるすべしきみかな 一茶


目白にもをされぬひはの羽色哉 重頼しげより

花咲て目白の旅や廿日はつかほど 浪化

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