宇治川のほとりにたつや神の春

【読み】

うぢがはのほとりにたつやかみのはる


【季語】

神の春〈新年〉


【語釈】

神の春――神を迎えためでたい正月。新年を祝っていう語。

[精選版 日本国語大辞典]


【大意】

宇治川のほとりに(神が)立ち、新年が立つ(のを迎える)のであった。


【付記】

言語遊戯(=ことばあそび)の句である。宇治川にかかる宇治橋には「橋姫」なる女神がいるとされることによる。なお、橋姫は宇治のものが有名だが、必ずしもその橋だけに限らないようである。


【例歌】

もののふの八十やそ宇治川の網代木あじろぎにいさよふ波の行くへ知らずも 柿本人麻呂

朝ぼらけ宇治の川霧たえだえにあらはれわたる瀬々の網代木 藤原定頼

朝戸あけて伏見のさとにながむれば霞にむせぶ宇治の川波 藤原俊成

いはねこすやそうぢ川の波よりも早くも過ぐる年の暮れかな 同

鵜飼舟あはれとぞ見るもののふのやそ宇治川の夕闇のそら 慈円じえん

宇治川に蛍の出でむときとなりその河岸に山吹散るも 中村憲吉


【例句】

飛梅とびうめやかろがろしくも神の春 守武もりたけ

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