第7話

足が勝手に進んでいく

目的地も決めていないのに、夜遅く。

お父様が心配するかな、


私が足を止めたのはスラリーさんの家


そこは私にとって育ちの家


スラム時代初期にであった貴族のような格好をしたおばあさんの家


その人は1人だった私に声をかけ助けてくれた


「……私の家に来な」


その言葉は私にとって希望の言葉だった


家の扉に手をかけ中に入るとそこには先客がいた




「誰だ」


「あ、」




それは同じ学園で同じクラスのミネラーレ辺境伯の息子・エドワード様




「君はトロフェン伯爵家...」


「マーガレット・マリー・トロフェンです」


「マーガレット嬢。

どうしてここへ?」


「懐かしくなって」




そういうとエドワード様は驚いたような顔をした




「君はもしかしてマーガ?」


「どうしてその名前…」


「覚えていないか?」


「……もしかしてエド?」


「あぁ!」




エドとは私がスラリーおばあさんにお世話になっていた頃、ずっと一緒に過ごしていた男の子の名前。


それがこの辺境伯のエドワード様だったらしい




「久しぶりだね」


「そうだな、でも驚いたまさかトロフェン伯爵家になってるなんて」


「そうか、エドは私がスラム出身って知ってるものね」


「あぁ、まぁでも貴族になっても変わってなくて嬉しいよ」




それから私とエドは昔話をしたり今のことを話したりし時間がすごく経っていることに気づかなかった


家に帰るとお父様がすごい心配していて危うく外出禁止になるところだった。


そんなたくさんの出来事があった一日は終わり次の日からいつも通り学園が再開した。



それからあれだけずっと来ていたウィリアム殿下も来なくなり平穏な日々が戻ってきて嬉しいはずなのになんだか落ち着かないというかモヤっとする



「どうしたのマリー」


「スイ…わかんない」


「あ、ウィリアム殿下が来なくて寂しいの?」


「んなわけ」



そんな状態のまま昼休みはすぎ授業もすぎて放課後。

今日は学園から1人1人配布されているロッカーに用事がありそこによる。



ロッカーを開けると

二通の手紙が入っていた


こんないつ使うか分からないロッカーに手紙だなんて……誰だろうと思ったが

その差出人はウィリアム殿下とエドだった。



ウィリアム殿下からは明日の放課後、温室で待っているとの事


エドからは明日の夜、あの家で待ってると



その二通の手紙をカバンに入れ、寮へ戻った



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