チーム『Sky』—謎—

 俺は起き上がった。


 2人はいなくなっていた。前の2人が殿をしてくれた時に似ている。


 ジンはどこだ。


 たしか、あっちだったよな。


 痛みや苦しみはなくなっていた。


 だから、走る。


「ジン!大丈夫か!」


 血が出ている。いや出すぎだ。このままでは出血多量で死んでしまう。


「ジン...!おまえだけでも、絶対に生きて帰すからな...!」


 ジンを背中に背負う。


 病院に行くんだ。絶対死なせない。


 ジンを生かすために、また走り出した。


 ——————


 あれ?ここはどこだ?俺は確か隕石を落としたはずなんだが。


 知らない家で俺は起き上がる。狭い家だな。アパートか?


 見慣れない黒い髪。鏡を見ると全然知らない顔だった。


 誰だこいつ?


 疑問に思ったが、戻り方も分からないので、身元が分かりそうな者を探す。


 健康手帳があった。


「お前の名前はなにかなー?」


『斎藤尽』と書かれていた。


「いや誰だよ。」


 1人ツッコミ。ついやってしまった。


「これあれか?俺死んで転生したのか?」


 しっかりと触った感覚はある。


 すると、ある一本の電話が入った。


「あっ、尽。今日は仕事来ないのかな?」


 心配そうにそう電話で聞かれた。


 これ行った方が良いやつだな。


「大丈夫です。ついでに、仕事場ってどこですかね?」


「大型商業施設 斉藤だよ。」


 そこはショッピングモールとかでいいのでは?


 スマホで検索し、マップを開いて行ってみる。


 着いた。すると、斉藤守という名札が書いてある人物が声をかけてくれた。


「大丈夫?尽?」


「あっ。大丈夫です。」


「そっか。」


 安心したらしい。笑った。


 何となく働いて、帰ってきて。また明日も働いて、帰ってきて。明後日も、その後も。


 平和だ。こんな日常が毎日続けばいいのに。


 そんな日常に終わりがきたらしい。周りの景色が白い煙によって消えた。


 一瞬で何もかもが消えた。自然に。


 そして、体が上へ上へゆっくり浮いていく。


 分かる。意識が戻るのか。そしたら、これは夢だったのか。


 そうだったら、良い、夢だったな。


 ———————


 ジンが目を覚ました。


 良かった...本当に良かった。


 涙が溢れる。


「ジン!大丈夫か!」


「あぁ。ソラか。すまない、迷惑かけた。」


「大丈夫だ。」


 そして、ジンが心配そうに聞いた。


「現状を教えてくれ。」


 俺は話した。新しいスキルが追加されている事、ジンが一週間ほど寝ていた事、2人が消えた事。


「そうか...」


 ジンは神妙そうに、時々頷きながら聞いてくれた。


「すまない。俺の力不足だ。」


「ソラが謝る事はない。仕方ない事だったんだ。」


「新しいスキル、何だった?」


「うーむ。ちょっと待ってて。」


 指を四角くして、拡大し、蒼白い画面が開かれる。


「No name Death...?」


 そうジンが呟くが、下の文章を読んで驚愕していた。


「どんな能力だったんだ?」


「何にも書いていなかった。」


 嘘つけ。文章読んでいただろ。


 そう思いはするが、何も聞かない事にした。


「そうか。」


 ——————


 結局、俺たちは『Sky』を続ける事になった。


 最初は2人だったが、ジンがミロという人物を連れてきて、3人パーティとなった。


 そして、君主と初めて戦い、ジンが殿となり、俺たちを逃がしてくれた。


 君主は誰なのかは分からない。でも、昔は俺たちの仲間の1人だったはずだ。


 ジンは知らないかも知れないが、俺は戦いたく無かった。


 パーティは解散。ミロは観測者に戻るらしい。ここを去った。


 俺は、引き篭もった。


 ————————


作者から

 これで『Sky』の前日譚終了です!やっと本編なので、安心して下さい。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る