エピソード3 ミロの分かりやすい解説

 ほい。着地。


 セーフではないか?


 頭痛も治ったし。


「ふぅー。何とかなったわね。」


 にっと笑うミロ。いやあなたのせいですからね?本当に。


 それで?これからどうすればいいんだ?


 その疑問に答えるようにミロが言う。


「まず。前にも言った気がするけど、あなたはジンの生まれ変わりよ。転生と言うべきかしら?」


 確かに俺は尽だが。そのジンってやつの記憶がないんだわ...


「あなたはジンの習得した全てを使える。」


 お?それ小説とかでよくある俺、最強ですとかではないか?


 でも。とミロが続ける。


「この世界では、技は見ないと使う事が出来ない。」


「どうゆう事だ?」


「簡単に言うとね、ここにある機械があるとします。あなたはこれを使って下さい。と、言われても、ジンは使える?」


「いや?無理だけど?そもそも使い方が分からないじゃん。」


 うんうんとミロが頷く。


「そうゆう事よ。技にせよ、魔術にせよ、使い方を知らなきゃ使えないの。この世界では、見る事でそれを知る事が出来る。」


 へぇ。なるほど。じゃあそれを見せて貰えばいいのね。


 俺が楽勝とか思っていると。


「まず、技は見れないと思った方がいい。」


 え?


「なんで?」


「ジンが使っていた技は全てオリジナルなのよ。ジンが発明して、ジンにしか使えないの。技を見せてくれる人は多分いないわ。」


 ふぇ?ガチ?俺はどうすればいいの...?


「安心して。特殊能力ユニークスキルとか、一部は引き継がれていると思う。」


 おぉ。あれですか、強いスキルですね?


「その説明を見るためにまず、指で写真を撮るようにして。」


 子供の頃にやっていた、指で写真を撮るようなポーズをする。両手の人差し指と親指で四角くするやつ。


「それで、それを拡大するようにするの。四角くした間の空間を広げるようにするって言えばいいかな?」


「分かりません。」


 ミロは少し不満そうな顔をした。


「こう!こうやるの!!とにかく四角い状態にすればいいの!!!」


 言われた通りにやるが、言葉だけの説明じゃ絶対に出来ないよ。これ。


 そうすると蒼白い画面が開かれた。


———————————


 ジン(Death 1度目)


 技 なし(全て封印状態)

 

特殊能力ユニークスキル

概念無効ゼロ・ワールド 

・No name Death


———————————————―――――――――



 え?これだけ?

 体力とか筋力とかないの?


「見れば分かる通り、小説とかにある、基礎ステータスというものはないわ。」


 え?漫画とか小説とかゲームにでさえ、ある基礎ステータスがないの?


 俺の疑問を余所にして、ミロが話し続ける。


「この世界は体力とかの数値はない。そっちの世界と同じよ。人間の基礎能力は数値化されない。例えば、HPが残り1で、雑魚攻撃を受けて死んでしまうかもしれないけど、こっちはそうじゃない。本人の精神力次第では、HPが1のような状態でも、耐える事が出来る。」


「つまり、数字という縛りがないと言う事か?」


 俺には、基礎ステータスがない方が良い気がしてきた。  

 ミロはうんうんと頷く。


「そう言う事。」


「疑問は少し解決したんだけどさ...まずまず、ここどこ?」


 俺はゲートを通る前から思っていた事をやっと口に出せた。


「ん?ここは地球よ?」


 そんな事は聞かれると思わなかったようだ。驚いた口調で言う。


「パラレルワールドって言うのが分かりやすいかしら。ここは日本という国だけでなく、アメリカとかの外国が存在する。英語やカタカナという概念が存在するの。あなたは普通に使っていたけどね。」


 多分ジンが引き継がれているのかな...と真剣な眼差しで呟いていた。


「そもそも、あの世界の人間で、ゴブリンに勝てる人は存在しない。あの世界の住民が龍と戦うのと等しいよ。」


 え?ゴブリンはそんなに強かったのか?


「つまり、俺がいた世界は弱いと?」


「そうゆう事。逆によく勝てたね。」


 運動が得意で、格闘技を一通りできるのもジンのお陰なのか...


 そう思うと何とも思えない気持ちになってしまった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る