エピソード0 ミロの前日譚

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 なんで守ったのか教えてほしい

 ————————————ある自称天才魔術師


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 私はミロ。自分で言うのもあれだが、天才魔術師である。

 この世には魔術と技という2つの強力な攻撃スキルと、ユニークスキルが存在する。

 魔術は、魔術名(ファイアーエクスプロージョンなどの名前)を呼ばないと発動しない。もちろん、技も技名(ざん)などもそうだ。それらには呼ぶまでにタイムラグがある。長ければ長いほど強力なものが多い分、隙が出来やすいデメリットが生じるのである。

 これを補う手としては、自身の技量を上げ、短いスキルを強力にするなどが挙げられる。


 私は魔力量(魔術を発動する時に消費する)が生まれつき多く、魔術の才もあった。しかし、ハーフという生まれから差別されることも多かった。今では気にしていないのだが。

 そんな生活を幼少期、学生期を送ると、19才に観測者(色々なパラレルワールドを見る存在)になり、観測塔(観測をする場所)に住み始めた。

 初めは楽しかった。自身の知らない世界が見られたからだ。しかし、半年後に嫌になり、逃げ出すのだった。


「はぁ...はぁ...」


 運動はあまり得意ではない。人目がいない所に行きたかったので、森に入ったのがいけなかった。モンスターに追われている。簡単に言うとイノシシのデッカいやつ。


「はぁ...はぁ...はぁ...はぁ...」


 距離をとらなければ。簡単な魔法『ファイアー』を何回も使ったのだがまるで効いていない。

 なぜ。私は天才魔術士なのに。

 走っていると、木の根に足をとられた。


 ずどーぉ


 滑り込んだ感じに転んだ。痛い。


「ウゴォーーー!」


 イノシシが突進してきている。


(死んだな。これ。)


 その時。


 茶髪が揺れ、傭兵のような格好をした青年が助けてくれた。青年はジンと名乗った。


「ッふゥ!」


 ジンは片手剣を両手で持ち、イノシシを止めている。その片手剣は白と黄色を基調としたジンに似合う剣になっている。


「君、大丈夫か。」


 その言葉が嬉しかったが、反対の言葉が出る。そして、キッとした顔で言った。


「私、天才魔術士なんだけど。」


 そう言うと。ジンはキツそうなのに笑った顔で言った。


「そりゃ自称だな。本当だったらこんな目にはならんだろ。」


 私はこの時から自称天才魔術士と名乗るようになったのだ。


 ジンはふぅと息を吐いて、


受け入れろアクセプト!」


 凄いなぁ。イノシシが真っ二つになった。


 それが最初で色々大変なことはあったけれど。今大事なことはジンに助けてもらって冒険者になったこと。ジンの仲間になったこと。1番最初のジンの仲間。とても嬉しかった。観測者?そんなもの知らない。辞めるに決まってる。

 そうしてこの時決めたのだ。足手纏いにだけはならないと。


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 そのはずなのに。最後は私を庇って死んだ。そんな自分を許せなくて。冒険者を辞めて、観測者に戻った。その3日後に、彼に似た魔力を見つけることになるのは別の話。


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