Episode 030 それは、蒼き流星のように?


 ――蒼き流星は、いつの日か青白き流星となって暗闇を消し去ってゆく。



 窓から見えるのは夜の帳。目を覚ませばダークな夜空だから。でも、明けない夜はないように、必ず朝は訪れるの。例えば、今日のような学校も休日な日に。皆が休みの日。


 気怠い感じの午前の風……


 ほのぼのと春の陽気を感じた、久しぶりの午前。スーッと深呼吸、緑の薫りも感じ。


 伸び伸びするには丁度良い感じのシチュエーション。その場所は、そっと縁側へと。移る移る移り変わり、冬も密やかに春の予感へと染まる丁度そんな時だった。


「やっほ」と聞こえるハスキーボイス。


 ……えっ? ハスキーボイス? サッと走る、凍り付くような冷気。或いは悪寒? 目を凝らす程の緊張感。振り向く。声のした方へ振り向いた。するとだ……


「遠いとこだな、通学大変そうだな」


 と、お顔を拝見できる程の距離に、彼女はいた。まさかのまさかだ……


「か、葛城かつらぎさん、どうして此処へ?」


 何と、葛城咲姫さきだった。色白のポチャリ。やや釣り目。黒く長い髪。私はというとボブで眼鏡。地味な黒縁眼鏡。着ているものはモノトーンで、彼女はというと青と黄色で、


「フムフム、センスは互角だな。白黒ハッキリしてるな」


「答えになってないでしょ。何の用? 学校へ誘いに? 同じクラスでもないのに?」


 と、私は彼女が着ている青と黄色のファッションを話題にするつもりだったけど、その様な余裕はなし。今の私は不登校だから。先の見えない不登校だから……


「散々な言われようだな。ま、そうそう邪険にしなさんな。別に学校へ誘いに来たわけじゃねえし。お友達が訪ねに来ただけじゃ駄目なのかな?」と彼女は言ったけれど、


「お友達? 昨日今日会ったばかりに等しいあなたと? ふざけないで、悪い冗談」


「ま、そりゃそうか……でもな、時間はあまり関係ねーぞ。始めの二分あったら、自分には充分だけどな。剣を通じてお前のこと、お友達にしたいと思ったけどな」とまで。



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