Episode 025 それは、情報の集大成なの?


 ――交錯する情報。何が本当なのか? 日々野摂という人物は今、ここにはいない。



 この学校の生徒ではなく調べたら他所の学校。誰から聞いた? 誰から? それは広まる噂の中で。それが歪められ……葛城かつらぎ咲姫さきという子が、葛城しょうという人物と間違えられたように、葛城翔さんという人は、実は葛城咲姫の姉に当たるというのが、正しき認識。


 なら、日々野ひびのせつは誰と間違えられた? それこそがマリー姫だったの。


 一種のパラレルワールド? 噂は時として情報が合体することがある。


 喩えるなら今描いている漫画……


 漫画部は、あの件により解散……


 今はサンタ君と二人で描いている。その内容がフランス革命とナチスが融合しているもの。一輪の薔薇が奇跡を起こす。幼き少女が主人公。内容はまだグチャグチャだけど、漸く描き始めることができた。一時は筆を折ろうとも思うこともあったけど、サンタ君が一緒にやろうと励ましてくれたから、今がある。サンタ君も、とある小説サイトの『書くと読む』での連載を再開したから余計に……そして再び二人三脚の歩みは始まるの。


 足元を見ると、まだ宙に浮いているような感覚。


 地に足が着かないという意味だ。交錯する情報が、このような事態を招いたの。


 見えない明日だからこそ、相手のことを知りたがる心。地に足を着けるために。


 学校内での私の耳は捉えた。


 まずは葛城咲姫とは何者なのか。その関係から結び付くものは、剣崎けんざき文八ぶんぱちの正体。この二人の関係は何なのか? ライバル……という間柄? 実は違っていて、お仲間。


 同じジャッジメントだった。剣崎文八ことブン君は、潜入していたことになる。我らが漫画部に。じゃあ、何のため? 何を追っていた? それは、私の別人格か……


 その先にあるもの? もしも私が別人格になって、剣豪となったのなら、その勝負の先にあるものとは……きっとそれが答えだと思われる。彼らの目的はそこにあるの。


 なら試してみる? でも別人格は、私の意思など関係なく気紛れなものだから。



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