Episode 024 それは、募る想いに等しく?


 ――喩えるなら、物思う秋。恋心にも似た感じのもの。紅葉のような色。



 今は帰り道。サンタ君と歩くのは、久しいことだった。


 時の長さにして、凡そ二か月……


 彼の存在の大きさを、心で知った日々。いかに事件が多かった日々だったけれど、それは変わらなかった。募る想いが、途切れることなどなくて、切なささえ感じていた。


 ……それって、恋なの?


「ずっと一緒にいて欲しいと言った矢先に……こんなことになってしまって」


 と、サンタ君は言う。夏休みの終わりに、彼は急遽、アメリカへ行くことになった。それは彼の、ご家族の都合で。元々は彼の生まれた場所。突然のお別れの予感。


「でも、サンタ君は帰ってきた。でも、もう大丈夫なの? お母さんのこと」


 と訊く。彼のお母さんは……御両親は、まだアメリカ。帰ってきたのは彼一人。だからこそ今日からは、私とお祖母ちゃんと一緒に暮らすことに……それに近い状態だ。


 彼のお家は健在。私のお家の縁側に近い位置。ほぼ隣接していると言っても過言ではなく、困った時はお互い様と、もう彼を家族の一員として迎え入れたお祖母ちゃん。


「……大丈夫。きっと。それよりイトちゃん、大変だったそうだね。守ってあげる。何があっても僕は、イトちゃんの味方だから。喩えイトちゃんが別人格になっても……」


 サンタ君の耳に入る程、噂は広まっていた。


 マコちゃんのお喋りから……本当は、心細かった。ギュッと飛び込む、彼の胸の中。


 そっと、優しく抱擁。彼は言葉の代わりに、温かな抱擁。秋深まりつつ、冬の寒さも凌げるようにと、温かく温かく……待ち侘びるは春。その四季の流れを心に染みながら。


 そして葛城かつらぎ咲姫さきは、隣のクラスの転校生だった。


 私たちの学校には、ジャッジメントと呼ばれる組織が蠢いているらしい。彼女は、どうやらその組織と関係しているらしい。その繋がりは生徒会。時の生徒会長は日々野ひびのせつというお金持ちのお嬢様。お金持ち……私には敵に思えて、縁なきものと思っていたけど。



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