Episode 022 それは、星降る街角なのか?


 ――そう。運命の曲がり角。


 新たなる出会いさえ。その一歩先の未来は予測不可能ということ。



 あの日、ライトセーバーが襲い掛かってきた日から、そう思えて、そう思えて……


 そして、あの日から…… 


 身を潜めて、喩えるなら影法師のように、私の後を歩む者がいる。ストーカーのような勢いで。寸暇も惜しまずに。その者が誰なのかわかる。容易に。手に取るように。


「ちょっと、私を尾行しなくても大丈夫だから。普通に歩こ、普通に」


 すると姿を見せ、その距離は目の前にまで。


葛城かつらぎが現れないかとウズウズしてな。どちらが強いかハッキリさせようと」


「ブン君、それって私を囮にして?」


「イトが別人格になったら現れるんだろ? 葛城が」と、満面な笑みをもって答えるものだから、フーッと深い溜息が出て「あのね、そんな簡単に別人格にならないよ」と、若干は呆れていた。彼が興味を持つものは、やはり剣術での勝負。強いか弱いかだけ。


「つまんねー、久々に強者とやり合えると思ったのに……」と、彼はガッカリ感満載で言うものだから、つい「見たことあるの? 私が別人格になったところ」と訊いていた。


 少し……あくまで僅かばかりの沈黙があった後で、


「マコが言ってた。もう噂も噂」と、ブン君は答えた。疑う耳、だけども確かにそう聞こえた。マコって口が軽い? でも口止めなどしていないけど……普通わかるよね? お友達が困っていることを広めるなんて。ショックだったのか?


 それとも受入れられないのか? 私は触れなかった。その広まった噂にも。


「兎も角、もうその必要もないから……」と言って、私は駆け出した。思えば今日は月曜日。週末までは大分の間がある。飛び出したくなった今この時、お外へ学校の外へと。


 すると曲がり角。俗に言う正面衝突? 飛び散る火花と共に、お星様まで目の当たりにした。これもまた偶然の成せる技なのだろうか? とても低い確率をもって。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る