Episode 020 それは、八月のララバイか?


 ――夏の終わりを告げる、八月三十一日という日。



 そこから始まる物語。新番組が密かにあった。明日からは二学期だけど、ちょうど就寝前のヒッソリとした時間帯に。その内容は、まるで必殺のような感じのもの……


 登場人物は高校生くらいの女の子が二人に、男の子が三人。必殺のような感じのも

のといえば、やはり技や武器。そして裏の組織だ。その五人は普通の生徒というには。あまりにも個性的な面々。なので技や武器もユニーク。糸を使う者や苦無を使う者。小型爆弾や仕込みのバイオリン。そして空手を使う者……ふと思った。


 いずれは、自身がその世界と巡り合わせるような予感が。


 そのことを胸に、私は今、緑の中を歩く。川の畔で一休み。一人ではなく二人。語らいの場を求めてマコちゃんと、そっと釣りを嗜む。川の水が透き通って綺麗だから。


 本題は何か?


 解決はしたけど、辻斬りの件だ。


 どのような過程を経て、私の中で別の人格が生まれ、マコちゃんを操ったのか? それを知るには操られ過ぎた。鏡のような、私の中に住む、裏側の人格。それが犯人。


 警察沙汰にはなるけど、あまりにも少ない情報量のため、御咎めはなかったの。でもでもでも、人を傷付けたことには違いなくて、謝罪に回った。


 その時の人格は違えども、私であることには変わりなく、しかもマコちゃんを操っていたことにも違いなくて……それでも私に付き合ってくれた。


 今も一緒にいてくれる。


 私の中に住んでいる裏側の人格は、必殺の要素を取り入れていたようで、私も真似できない程の剣の達人。……だったなら、その続きを発言したのは、マコちゃんの方。


「今度、イトちゃんの裏側の人格が現れたなら、ブン君と勝負してみるといいね」


 ブン君とは、剣崎けんざき文八ぶんぱち君のこと。彼もまた強豪だから、私の暴走を止めてくれるかも。


 その様な感じで、八月の最後の日を、そっと穏やかにマコちゃんと過ごしたの。



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