Episode 019 それは、夜明けに似た感じ?
――ビックリする程に暗かった背景も、想いを告げたことによって明るくなって。
その様は、まるで夜明けのようで、
「見ての通り、私はあなた」と、背景が明るくなればなる程に……ハッキリする輪郭。そしてその姿も、声さえも「ジキルとハイドの関係とでも言っておこうかしら。今は消えるけど、覚えておいで。あなたと私は切っても切れない関係だから、いつかまた対峙する時がくるわ。あなたの心が弱かったのなら、すぐ私が乗っ取るんだからね……」
と言いながら、光と共に消えていった。
敵にするなら、とても恐ろしい敵。彼女は、鏡……だから。
つまりは私の、もう一つの人格だったの。本当の敗北は、自分に負けること。だからこそ本当の勝利は、自分に勝つこと。そのことを胸に、今一度、マコちゃんと向き合う。
目覚める時だ。マコちゃんは目覚めた。
……じっと私を見る。
僅かな秒数だったのかもしれないけど、とっても長く感じた。例えば一時間くらい。
私という存在を、しかと見ていた。私は確かに、ここに存在している……他の誰かではない私を。そして破られるのは沈黙。それと共に、破られる闇に乗じた世界。
「おはよう、イトちゃん」
と、マコちゃんは満面な笑み。そこはそこはそこはだよ、理科の実験室だ。人体模型がすぐ傍にある。でも、それが目に入らぬ程、私は「おはよう」を返した。そして……
「解決したよ、辻斬り事件」
と告げるの、胸を張って。すると、目を点にしながらマコちゃんは訊くの。
「誰……だったの? 犯人は」
「今、ここにいるの。ほら、ここに……」
私は答える。正直にありのままを。見開く目で、マコちゃんは私を見るの。
「まさかイトちゃんが? 話して、きっと深い訳があったんだね」と言って。
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