Episode 018 それは、さすらいの中へと?


 ――目覚めると、まだ夢の中にいるような感覚。そこは白く広がっている。



 まるで雲の上にでもいるような……


 すると呪縛から解放されたように、視界がソフトフォーカスから徐々に、ピントが合ってくるようにハッキリしてくる輪郭。見えるマコちゃんのお顔。その隣には、私と色違いの不死鳥のペンダントを持つ女の子。吸い込まれそうな青い瞳。靡くブロンズの髪……


 そして、何処かで会ったような記憶。


 記憶の糸は絡まって、ささくれに当たるような痛み……地に、足が着いていなくて、身体の自由が奪われる程、私は縛られていた。それは、紐が肉に食い込む痛みだから……


 ここは何処? と思う以前に、


「あなたは誰? 何が目的なの?」と、記憶の糸を辿るよりも、訊いた方が早いと思ったから。身体は自分の意思で動いているようだから。それに意識もハッキリしてきた……


「そうねえ、あなたの正体を伝えに。例えば、私と同類ってこと」


 類は類を呼ぶ。


 同じ能力を持つ者だから。それは悪魔の力。


「ねえ、力を合わせない? 私の金とあなたの銀、双方のペンダントが揃ったなら、この世界を征服できるってこと。もう人と関わることでの苦しみはなくなるんだよ」


 なぜなら世界は、私達の思うがままだから。


 私の中に溢れる、涙のような記憶たち。人と関わること……それは一家心中の未遂。親戚を盥回しにされる中での、虐めや、性的悪戯も含まれる。この世から飛び出したくなる程の苦しみたち。そのような過去だけど、ふと浮かぶ、お祖母ちゃんの顔。それに……


 色づき始めた、つい最近の日々。


 ここにいるマコちゃんも、その中の一人だから。


「……真っ平ごめんだ。きっと、私の能力は、悪魔に売っちゃ駄目なんだ。人と関わることでの苦しみを知ることは、誰よりも優しくなれること。宿命を使命に変えるから……」



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