Episode 014 それは、季節の変わり目か?


 ――夏の中心にある雨の日。まるで嵐のような出来事に、ふと思う。



 ふと思う、ふと思う……


 その景色の色はセピア色。一昔前の風景……


 想い出の片隅にあるもの。こことは違う場所。お祖母ちゃんのお家とは違う場所。


 親戚のお家を盥回し。その途上での出来事だ。私の親戚のお知り合いにはハーフの子がいるのだ。容姿からして、サンタ君と同じ感じの……ブロンズの髪に青い瞳の……


 少女。幼く見えるけど、私よりも一つお姉ちゃん。


 記憶の片隅、片隅……


 お泊りしたことがある。そして、そして……


 煌めくペンダント? ペンダント。そう、ペンダント。今、私の手の中にあるペンダントのことだ。白銀に燃える不死鳥のペンダント。そうだ、その日に入手したものだ。


 じゃあ誰から?


 いいえ、或いは盗んだもの。ウッカリと荷物に入ったもの。


 その少女のものだった。それはもう確信。真実と思っても間違いはない。もう少し深く想い出の紐を解いてみる。すると覚えられない程の長い名前。ただマリー姫と呼んでいたような気がする。大富豪の娘。羨ましく思えたから、それがダークな部分に変わる。


 入れ替われるのなら……


 或いは、これまでの記憶を改竄できるのなら……


 沸々と現れる、繰り返される想い出。その中に見る、数々の仕打ち。パパへの仕打ちを知ったのはこの頃で、もう帰らない家族での暮らし。パパを追い込んだのは、マリー姫の御両親だ。パパの会社を破綻へ追い込んだのは……


 その末に一家心中、未遂で終わったのが何よりもの救い。その時に現れた、私が持つ能力。或いはペンダントの力? 多分、深い悲しみによって生まれた能力。心が折れるどころか、燃ゆる思い。だとしたら、まだ反映されてないってことだから。



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