第三章 黄色の戦士。

Episode 011 それは、機動戦士の何者か?


 ――鬼気迫る部室。というのか、季節の変わり目だからこそ起きる現象。



 何かが変わる時は、誰もが真剣な顔を見せている。鬼の形相も荒々しい口調も、その一部なのだと思えるの。楽しく……ではなく、張り詰めた空気となっている。


 漫画部と呼ばれる私たち三人は、今日もプレハブで活動していた。


 始めのうちはコミュニケーションがあった。今はどう? 作業に張り付いているという感覚。九月一臂のコンテストを目指しているけど、ゴールが見えない以前に、何をどう進めて良いのか、三人が三人とも困惑の域に達していた。各々が、思う通りの道をゆく。


 何が正しいのか解らないまま……


 すると突然のことだ、プレハブのドアが開いた。三人以外の何者かが侵入……


「WHO?」「誰?」と、サンタ君と私の声がこだました。


 驚いたという表現も、その中に含まれている。何に驚いたのか? それは笑顔……空気を変える程の。まるで筋肉自慢のお笑い芸人のような感じの男子。それでいて黄色だ。


 今はもう詰襟ではなくカッターシャツ。その下にある黄色……広がる黄色のシャツ。それからベルトも、靴下さえも。第一印象が黄色の戦士とも言えそうな風貌だった。


 手には握られている。


 竹刀。……それは剣道部を意味しているけど、彼は剣道部ではないと言う……諄い質問の末には白状した。剣道部だったこと。だったというのだから、あくまで過去形。


 じゃあ、何故ここに来たのか?


 それは……まさかの「道場破り」だったのだ。そう聞いた時、私は「はあ?」と声を立てた。でも相手は、その男子には通用せず、何と振り回したの、竹刀を。


 危ないと、私を庇って肩を叩かれた。サンタ君……


 それでもサンタ君は笑みを浮かべて、私の髪を撫でながら「君が無事で良かった」と、声にしたのだ。すると込み上げたのだ。涙と一緒に覚醒したものが。取り出した、懐にあるもの。白銀のペンダントを翳したの、その男子の目の当たりに。そしてゆっくり……



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