第二章 若葉な学年。
Episode 006 それは、ピカピカの一年生?
――粉雪は、薄紅色の花弁に変わって。この舗道を彩っていた。
春の魔法。春という季節が齎す、特有な魔法。……そうだね、なら、私はそんな魔法少女になりたいと思える。誰かの心をそっと包み込むような、心を救えるような……
でも、自信などない。
でも、今一緒に歩いてくれる彼となら、できそうな気がするの。
僅かな可能性? 悪霊のような魔法ではなく、明るい未来を切り開く魔法。私は皆が笑顔になれるなら、ヒーローのような魔法少女になる。その物語を始めたいから……
その想いを描いてゆく。
彼と……サンタ君と描く物語。漫画の連載を始めた。
白銀のペンダントには、正義のために使いたいとの願いを込めた。繰り返される想い出の、その中で蠢くパパとママの表情は……私を恨めしそうに見ている、その顔には。
握る手。
ふと見るサンタ君の表情。――いつも笑顔をくれる。
温かな光の中、詰襟の黒色に白い微笑み。そしてソフトな声で、
「
「……きっと大丈夫。学校って、久しぶりだけど」と、答えた。多分、引き攣った笑顔かもしれないけど、それでも今の自分の精一杯。でも、登校を試みた自分に拍手喝采。
小学四年生の頃は、冬頃までの記憶がある。
小学五年生の頃は、良き思い出はあったのだろうか?
小学六年生の頃は、夏休みまでしか、記憶がなかった。学校へ通った記憶。この記憶も本物か偽物か、或いはペンダントで操作したものか、それさえも区別がつかず……
でも、お祖母ちゃんと暮らしている日々。それからそれから今この時、サンタ君と出会ってからのことは、紛れもない本物。正義のための白銀のペンダントと、そう誓った。
「いい顔してるよ、糸子ちゃん」と、サンタ君のその言葉に、込められた今この時。
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