後悔を重ねるために生きています。私はきっと、そういう人間なのです。破滅願望と言っても差し支えないでしょうか。私はいつだって、私のために生きてはいないのです。あるはずのない何かを求めて、いるはずのない誰かを求めて、その空席に、全てを捧げて死にたいのです。

死にたい。ええ、それは間違いではありません。私は間違いなく死にたい。死んでいなくなってしまいたい。でも、ただ死ぬだけではダメなのです。私は、私のために死んではならないのです。

――ああ。誰かのために死にたい。誰か、私のために生きてくれる人のために。


どうしてこんな風になってしまったのでしょう。答えはありません。原因がないからです。うまくいかない日々に苛まれ、いつのまにか、こんな自我が芽生えてしまったのです。私がもう少し大人だったか、もう少し丈夫な身体であったなら、その人に会う前に、取り返しのつかないことになっていたでしょう。貧相な肢体ですが、陰気な性格ですが、それを押してでも、きっと春を安売りしていたはずです。そうでもしないと手に入らない愛があったのです。そうでもしないと、耐えられない日々があったのです。


「会って欲しい人がいるんだ」

刹那さんと出会ったのはその頃でした。あの人は救世主です。死にたいだけの私に、生きる意味を与えてくれた。あの人は、そういう意味では悪魔的です。死を待つだけの私に、生きる喜びを教えてしまった。死にたくないだなんて、思わせてしまったのです。その出会いを運命と言って何がいけないのですか。その想いを愛と呼んで何がいけないのですか。

いいじゃないですか。夢を見たっていいじゃないですか。たとえ永くない命であろうと、風前の灯火であろうと、たった今この瞬間を、幸せと呼んで何が悪いのですか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

繋がれた無力 加賀 魅月 @making_your_night

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る