ジグソーパズル

ジグソーパズルってありますよね

ピースをはめてを絵を作るやつ

あなたは今からそれをする


まずは簡単なものから

ピースもでかいし、すごく簡単

あっという間に完成した

気分もいいし、単に絵を見るという過程に達成感がプラスされる

面白い、次に行ってみよう


次は300ピース、なかなか大変そうだ

「これはここで、、、、あれは角だから、、、」

大変だが着実に進んでいるぞ

最後、ラストスパートだ


あと3ピースのところで気づく

足りない、足りない、あと1ピース足りない

完璧主義の彼女は、天地が逆転するがの如く焦り出す

ない、ない、ないと完成できない

ピースの欠けたジグソーパズルなど意味がない

今までの行動が無駄になる、どうする、探せ


「あった!」

机の下に落ちていただけだった

助かった、なんとか最後のピースをはめて完成

おお、流石に苦労しただけのことはある

綺麗で雄大な景色の絵だ、

この時のためにピースを埋めてる

過程じゃない、100%の結果だけがすべて

当たり前でしょ、だって欠けたジグソーパズルって無意味だから

そして私のそれまでの行動も無意味になるから


次に行ってみよう、うんと難しいやつを

どんな大変なパズルだろう、いい景色が見れそうだ


残りわずかになった、あと数ピースだけ


あれ?


ない、ない、ないないないないないないない

机の下にも、ポケットにも、どこを探してもない


ないないないないないないないないないないないないないないない

ないないないないないないないないないないないないないないない


なんでない?


結果どうなったでしょう

そう、我々の観測外の、埒外の第三者がピースを盗んでいたのでした

自分のジグソーパズルを完成させるために盗んでいた


結果、彼女はどうなったでしょう

自暴自棄になり、

残りのパズルを、欠けた不完全なパズルを

すべてぐちゃぐちゃにしてしまったのです

それきりジグソーパズルはしなくなりました


何が、何がいけなかったのでしょう

世界のどこが、なぜ彼女が

1ピースだけ欠けたジグソーパズルは

欠けていても

彼女の気持ちのこもった

苦労の費やした、そして何より

綺麗で、荘厳で、雄大な限りなく満点に近いものだった景色が

それがなぜ壊されなくてはいけなかったのか


なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ


「完璧主義は脆いものだ」

それもわかる

「90点でもいいじゃないか」

それもわかる

「だから、完璧を求めずに生きていこう」

それはわからない、決してわからない

なぜなら、私のアイデンティティはそれだからだ

変えようがないそれが私だから

だから壊れる、世界に壊される


生きる資格がないみたい

ジグソーパズルで憤慨する人など

ふと見れば、頭がおかしいでしょう


だが、それが彼女の美徳だった

芯だった、生きるよすがだった


それを、世界が関係のない、第3者が潰して台無しにした

彼女にはあったはず

試練を乗り越えるだけの力と知恵とココロが


敗因は一つ

彼女は、自ら建てた壁で生き埋めになってしまった

自分では乗り越えられない壁を作ってしまった


だってそうでしょう

簡単に登れる壁に意味などないのだから


だから私は世界と相容れない、それでいい

笑うがいい、低い壁で満足する志の低い者たちよ

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