第42話 冒険者登録

「あ、そうそう、最初に聞くの忘れてたけど…。

ここってヒューマンの国だけど、シルヴィーみたいな獣人もギルドに登録ってできるの?」


「はい、登録自体は…

ギルドは大陸全土に多数点在してますし、もちろん、獣人の国にも冒険者ギルドはありますので」


「そういえば、ギルドって基本的には国からの干渉ってほとんど受けないんだったっけ?

てことは、横の繋がり…

つまり、それこそ獣人の国にあるギルドとも連絡を取ったりしてるの?」


「…本当に極稀に…余程のことがあれば…といった感じです。

それも、一流と呼ばれる冒険者に依頼して極秘に…ですね…

ここリストリア王国はヒューマンの国ですが、帝国とは違って大半がルーデシアの教えを信じていますから…」


「なるほど…

バレると面倒ってことか…」


「はい。

特に、ここリストリア王国のヒューマンとフリーデン王国のエルフは今も戦争中ですから余計にですね

今は膠着状態となっていますけれど」


戦争か…

とりあえず今は停戦してるみたいな感じだし、再発する前になんとかしておきたいよな…

そもそも原因って何だ?

やっぱり、単純にルーデシアがヒューマン至上主義を掲げてるからか?

でも、宗教の影響を受けているとはいえ、1つの大国がそんな理由で戦争にまで持ち込むか?

そもそも、リストリア内でのルーデシアの立ち位置ってどんな感じなんだろう…


「あの、スラッシュ様…?」


「あ、ごめんごめん。

ちょっと考え事を…」


「それはそうと…なぜ冒険者ギルドに?

スラッシュ様のような方々がわざわざ登録をする必要が感じられないのですが…」


「まぁ、今後のことも考えて一応だよ」


「そう仰られるのでしたら…

ただ、通常の手続きですと、最も低いIアイランクからのスタートになってしまいますが…

もし姉…ギルド長が戻って来てからでしたら事情を説明して高ランクからのスタートも可能になるような気はしますが…」


「いや、そんなことしなくていいよ。

別にランクを上げること自体が目的じゃないから。

逆に通常の手順のほうが助かるかな]


って言ってはみたものの、どっちにしても今のステータスなら最初にやる恒例の測定で「あれ?ボク何かやっちゃいました?」的な感じで高ランク認定されそうな気もするし…


「…で…

とにかく、冒険者の登録をしたいんだけど、まずは何をすればいいのかな?」


「はい。

でしたら、こちらの用紙に記入をお願い致します」


セシリアに手渡されたのは2枚の紙。

それを見たスラッシュはソファで眠っているシルヴィーに声をかけて起こすと、受付まで呼んだ。



なんか色々と契約内容とか注意事項が書いてるけど、結局は同意に〇を付けて署名するだけか…

とにかく一通りは目を通しておくべきだな…


「主ー!

これどういう意味ー?」


「ん?

それは…

………

……

…」


「なんだかよくわからないー!」


「まぁ、オレがちゃんと読んでるから大丈夫だよ。

とりあえず、ここに〇して名前書いて」


「わかったー!」



シルヴィーが署名をしてからしばらくするとスラッシュも自分の紙にサインをする。

そして、それらをセシリアへと提出した。



「とりあえず、紙は書いたよ。

…で、最初は何からするの?」


やっぱりお約束の何か水晶に手を当てて…とか?


「えっと…何…と言われましても…

そうですね、冒険者プレートを作りますので、暫くの間待って頂く…くらいですね」


「え?」


「え?

……

…って失礼しました…」


「あ、いや別にいいんだけど…

その…魔力や属性を調べるとか魔力量の測定とか、なんかギルド所属の強い人と模擬戦したりとか…

そういうのは無いの?」


「えっと…

そういうのは無い…ですね」


マジかよ!


「いやいや!

だって魔物とかを相手にするんだったら、弱過ぎたらダメじゃないの?」


「まぁ、それはそうなのですが。

ただ、そんなに強い魔物と戦わなくても、薬草などの採取や、山菜取りなども依頼も結構ありますし…

例えば、隣町への配達のような依頼でしたら、数人のパーティーで街道を進むだけで戦闘が一切発生しないケースも往々にしてありますから」


…ああ…確かに…

そういや、冒険者って何でも屋みたいなもんだもんなぁ…




「はぁ…やっと終わったわ…

って、ほんとあんたらいい気なもんね!」



採用した冒険者の質疑応答や対応を終えたユリアがスラッシュのもとまで来て言う。

ちなみにスラッシュはソファに座っており、彼の膝枕で眠っているいるシルヴィーの頭や獣耳を触りながらまったりとしていた。



「あ、お疲れ様、ユリアちゃん。

そんなこと言われてもさぁ、プレートができるまでやること無くてさぁ。

待ちだよ、待ち」


「まぁ、それはわかるけど気持ちの問題よ、気持ちの問題!

こんなかわいい少女にだけ働かせておいて、自分たちはのほほんとして…あんたの心は痛まないわけ?!」


「いや、別にそこまでは…

ユリアちゃん、喋るの好きそうだし。

それに、暇な時間って結構精神的に辛いの知ってる?

オレはシルヴィーみたいに寝るわけにもいかないし」


「そりゃそうよ!

あんたがここで爆睡してたら引くわ!

…ってまぁ、そんなことより…

アリシア、大丈夫なのかしら…」


「あの強さなら、仮に何かあったとしても多分、大丈夫だと思うよ。

一応、ここでの登録が終わってギルドプレートを貰ったら、すぐに合流するつもりではいるけど」



しばらくした後、スラッシュとシルヴィーの2人がギルドプレートを受け取り登録が完了すると、3人はギルドを出てアリシアのもとへと向かうのであった。




【(冒険者ギルド)プレートとランク】



プラチナプレート   :Sランク以上


ゴールドプレート(☆3):Aランク

        (☆2):Bランク

        (☆1):Cランク


シルバープレート(☆3):Dランク

        (☆2):Eランク

        (☆1):Fランク


カッパープレート(☆3):Gランク

        (☆2):Hランク

        (☆1):Iランク

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