第18話 パッシブスキル
あ~なるほどね…
こういう感じになるのか。
…てか…
マジでビビった~!!!
まるで格闘家のような大柄で体格の良い筋肉隆々な男。
そんな男のパンチを、その顔にまともに受けてしまったスラッシュ。
この2人の体格差を考えると、普通であれば大変な事態になっていそうなものだが、彼は微動だにせず平然とした感じでその場に立ったままである。
なぁリア。
<何でしょうか、マスター>
確かに全く痛くはなかったんだけど…
なんて言うか…軽く殴られた?みたいな感覚があったような…
<それは痛みではなく、触覚による感覚だと判断します>
ああ、なるほど、そういうことね。
あ、丁度いい機会だから、もう少しリアに聞きたいことがあるんだけど、いい?
<もちろんです、マスター>
…こいつ、さっきからオレの顔を猛ラッシュで殴り続けてるけどさ…
こんなに体格差があるのに、なんでオレは吹っ飛ばされないで、こうやって普通に立っていられるわけ?
<相手の攻撃力がどの程度か?はわかりませんが、マスターの防御力が圧倒的に上回っているからだと推測します>
防御力…ねぇ…
例えば、鉄の塊に向かって、紙屑をいくら投げつけてもビクともしないようなもの?
というよりかは、今の状態だと、オレが全く動かずにいられるのは、幼稚園児を相手に腕相撲をしてるような感じに近いってこと?
<概ねその認識でよろしいかと。
ですが、1点だけ。
今話題に上がった防御力や攻撃力などの効果が有効となるのは、マスターの意思、或いは本能的に必要であると感じ取った時のみとなっております>
???
つまり?
<日常生活でリラックスしていたり、特に何も意識せずに過ごしている時などのように、危険がないと判断した場合においては効果が発揮されないということです。
例を挙げるなら、先程アリシアが絡まれていた際、簡単にエレオノーラに止められた状況がそれに該当します>
ああ、そう言われてみればそうかも。
あの時は、別にアリシアに絡んでいた男達とケンカをする気なんて全く無かったし…
とりあえず早くアリシアとシルヴィーのところに行かなきゃ!って思っただけだったものな。
<その通りです。
ですが今のケースだと、突然攻撃をされそうになったので、マスターの意思とは関係なく本能がそれを察知し、防御力の効果が出ているということになります>
う~ん…なんとなくわかったようなわからないような…
ま、いいや。
わかったことにしておこう。
で、あと、もう一つ聞きたいんだけど。
<なぜ怪我をしないのか?ということですね>
そういやリアはオレの中にいる存在だから、オレの考えてることがわかるんだったな…
あのさ、いくら防御力が高いからって、オレの体がロボットみたいに鋼鉄並みの硬さになってるってわけじゃないんだろ?
だったら、いくらなんでもこれだけ顔面殴られてたらさ、例えば鼻が折れたり、最低でも鼻血くらいは普通出ると思うんだよね。
<ですが、現状そうなっていない理由について、マスターは予想がついていますよね?
それが答えです>
あ~なるほど。
やっぱり怪我してもすぐに再生してるんだ…
てかさ、自分でいうのもなんだけど、オレのパッシブスキルすげぇな!
【パッシブスキル】
通常のスキルは使用するタイミングで自らの意思で発動させるのに対し、パッシブスキルとは常時発動しているスキルのこと。
現在のスラッシュのパッシブスキルは以下である。
【不老不死】
【痛覚無効】
【超速再生】
【状態異常無効】
【高温耐性】
【低温耐性】
お?
やっと諦めたみたいだな、
スラッシュの目の前には、攻撃を止め、肩で息をしている男の姿があった。
「…てめぇは…化物か…
なんで俺様の攻撃をあれだけ受けて平然としていられんだ…
…しかも無傷でよ…」
「まぁ、いわゆるチートだし…
あんたらから見たら、オレは化物みたいな存在かもな。
…それよりも、今まであれだけオレの顔を殴ってたんだ。
だから、軽く1発くらいはお返しさせてもらうぞ。
さっきまでの態度も気に食わなかったしな」
スラッシュはそう告げると、男の左脇腹あたりに蹴りを入れる。
すると、巨体の男が宙に浮き、凄い勢いで数メートル先の壁に叩きつけられた。
え?
そんなに飛んじゃう?
かなり手加減したのに…
もしかして、こいつ…見た目は厳ついけど、実はメチャクチャ弱いやつだったんじゃ…
壁に衝突した際の大きな音、それを最後にギルド内はまるで無人の空間のような静けさが続いていた。
男はというと、口から血を流したままピクリとも動かない。
おそらくスラッシュに蹴られた際に内臓が破裂したのであろう。
状況から察するに、その男はもう生きていない。
マジで???
おいおい、嘘だろ???
オレ、いきなり人を殺してしまった感じ???
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます