005
「カイト!来ましたよ!あなたが愛してやまない私です!!」
「……こんばんは旦那様。妻たる私が来たからにはもう安心です」
やって来た暴風と重力。ルルが愛想笑いと同時に溜息をついたのが解った。
「おい冥王、お嬢様が先に来店したのだ。なので席を先に決める権利はお嬢様にある。だから後ろに回れ。そうしないと、またカイト様に叱られるぞ」
「マルコとか言う奴の戯言は無視して、早く席に着きましょう。カウンターで良いですね?」
睨み合うマルコとヒルデガルド。こいつ等は主人の命令に忠実だから、顔を合わせたら一触即発状態になる。つまり、互いに「あの女を排除しろ」と命令を受けていると言う事だ。
「やめろマルコ。またカイトにぶん殴られるぞ。その時お前、覚醒したの朝方だっただろ?」
「やめなさいヒルデガルド。カイト様にまたビンタされますよ。その時あなたは壁に激突して朝方までそのままだったわよね」
窘めるお付きのルークスとハイデマリー、こいつ等も溜息を交えていた。
「い、いらっしゃいませお嬢様、冥王。お好きな席へどうぞにゃ~……」
びくびくしながら接客を開始するルル。ライオン丸は言いつけ通りに隅っこで気配を消して全く動かない。
「お好きな席って、カイトの真正面に決まっています。だから失せなさい根暗女」
「……旦那様の真正面は妻たる私が座る席。なのであなたこそ失せたら良いです、性悪女」
ギギギ、と睨み合うセレスとルシフを無視して、他に接客を開始する俺。
「らっしゃい、お前等4人で同席でいいだろ?いいよなマルコ、ヒルデガルド?」
「ははっ、カイト様の言われるとおりに」
「私に命令できるのは冥王「カイト様はルシフ様の
共に傅くマルコとヒルデガルド。マルコの方は簡単に命令を聞くが、ヒルデガルドの方はいつもワンクッション置かないと命令を聞いてくれないのだ。
同席で良いと言う事なので、ライオン丸から離れた隅のテーブル席に案内する。
「持ち帰りの注文があるから少し遅くなるぞ?」
水を置いて遅くなる事を伝える。
「ああ、構わないよ。君の方はどうだ?」
「私も構いませんカイト様」
ルークスとハイデマリーから許可を得たので厨房に戻る。まだセレスとルシフがギギギとやっているが無視をした。
「ルル、先にテーブル席の注文聞いて」
「は、はいにゃー」
睨み合っているセレスとルシフからそそくさと離れてテーブル席に向かうルル。安堵した表情を拵えながら。
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