002

「あー、腹減ったぜ。おう、ラインハルト、ジン、お前等も来ていたのかよ」


「わざわざ地上に来なくともユピテエルにも冥界にも飲食店はあるだろうに……お主達も好きだな」


 やって来たのはウィクトルジジィとステファンジジィ。こいつ等も毎日のように来やがる。おかげで助かってはいるけどな。


「いらっしゃいませウィクトルさん、ステファンさん。ご注文をお聞きしますにゃー」


 聞かなくてももう解るだろうに。しかし、たまーに違う物頼む事もあるから、油断は出来んけど。


「私はしじみラーメン。わかめ多めで」


「俺ぁやっぱ濃厚醤油だな。ねぎ大盛りでくれ」


「はーい、オーダー入りましたにゃー。いつもの二つー」


「おーう。ジンの肉ワンタン大盛り上がり」


「はいにゃー」


 ジンに肉ワンタンを持って行くルル。ラインハルトが思い出したように笑う。


「確かお二人は初来店の時にビールを注文してカイト様に叱られましたよね」


「まだ覚えてんのか……いい加減忘れろよ……」


「ほっほっほ…あの時は殺されるかと思いましたぞカイト殿」


 当たり前だ。殺す勢いで怒ったんだから。仕事中に酒呑むんじゃねーぞぶち殺すぞジジィ共ってな。


「あれはお二人が悪いんですからしょうがない肉ワンタン相変わらずうめえ!!」


「そう言うジン、お主だってレオンと喧嘩しようとして叱られておったよな?」


「そうそう、店で喧嘩すんなぶち殺されてーのか寧ろ死ねってな」


 ゲラゲラ笑うジジィ共。ジン、項垂れながらもラーメンを口に運ぶ。


「ははは。最初の頃はカイト様は全員に叱りましたからね。私も叱られましたし。割り込みするなちゃんと並べ断るのなら両足を切断するぞと。ルル、お勘定」


「はーい、醤油背油とギョーザで850イエンでーす」


 財布から1000イエン紙幣を出すラインハルト。ルル、お釣りで硬貨で150イェン出す。


「紙の金は最初馴染まなかったが、今は硬貨よりも軽くて持ちやすくて良いな」


「そうですにゃー。他国からの貿易でも紙幣を使っていますからにゃー。とは言ってもまだまだ定着していないみたいですにゃ」


「ははは。あの兵器が欲しいとなれば、イエンを用意するよ。冥界でもイエンを使う事を推奨しているしね」


「冥王はカイトさんがやれと言ったからやっただけだと思いますにゃ」


「それでも、ゴルドの数は限られているんだ。私は英断だと思っているよ。じゃあ、また来ますカイト様」


「「ありがとうございましたー」」


 最後はちゃんとお礼を述べたぞ。これも飲食店の基本だしな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る