忠義の四騎士
はるかはるか、遠い世界。
この世界は、平和とは無縁の地であった。
あらゆる国家が世界征服という野望を抱き、争いを繰り広げていた群雄割拠の世。
絶えず戦乱が続き、国家の民草はみな、明日を生きるために必死に足掻いていた。
そんな混沌とした時代の中で、持ち前の才覚と知恵を武器に、世界の支配者に最も近い存在として名を馳せた王がいた。
王の名は、ニルス。
常に冷静沈着であり、他を従わせるカリスマ性を備えた、稀代の賢王であった。
戦場では蒼銀の鎧を纏い、時には自ら戦線へと赴いたニルス。
その冷徹な眼光に見据えられた兵士は、恐怖で逃げることもままならない。
ニルスは、幾多の雑兵を次々に斬り捨て、悠々と前進していったという。
無類の強さを誇ったニルスだったが、彼が戦で勝利を続けることが出来たのは、決して彼個人の強さのみが理由ではない。
王たるニルスの強さの秘密は、彼を支えた家臣たちにあった。
陽光に煌々と照らされ、冷たく輝く白銀の城。
ニルスは、この城を拠点として領地を治めていた。
群雄割拠の世を平定するために必要なものは、堅牢な城だけではない。
真に強い国を創るためには多くの人材がいる。
ニルスは信頼できる優秀な側近たちを内政や軍備などの適材適所に配置。
政軍どちらも盤石な国づくりを行っていた。
こと軍備においては、ニルス本人によって戦いの才を見出され、鍛え上げられた四人の騎士がいた。
彼らは"
四天士は優れた武勇を誇るだけでなく、騎士道を何より重んじる。
騎士道精神の体現たる彼らは、強い心と信念、そして自らの主への揺ぎなき忠誠心を持った傑物であった。
静かな水面の如き集中力で、敵を切り裂く長剣の騎士、シュイ。
大地を砕くほどの膂力で、敵兵を叩き切る大剣の騎士、ロシェ。
稲妻のように先陣を切り、鋭い剣技を放つ細剣の騎士、リヒト。
突風の如く陣を駆け、敵兵たちを翻弄する双剣の騎士、ゲイル。
四人それぞれが屈強な兵でありながら、専属の部隊を率いている名将である。
ニルスは、四天士たちに絶大な信頼を置いている。
ニルスは信頼の証として、名馬や新たな武具、更には領土などを彼らに惜しみなく授けた。
一方、四天士も王の信頼に応えんと、厳しい修練を積み、戦で活躍するのだった。
四天士の強さの秘密は、一人一人の強さだけではない。
"我が王に世界を捧げる"という大義のため、背中を預けられるほどの信頼。
それによって築き上げられた、一糸乱れぬ連携にあると言えるだろう。
四天士が参じた会戦は、決まって必勝である。
戦場において、彼らの参戦を知った味方の士気は大いに上がり、逆に敵軍は命を惜しんで逃亡する兵が出るほどであった。
だが、世界の平定への道のりは非常に険しい。
王と臣下たちの戦いは、これからも続いていく。
いつか世界をその手に収め、天下を統べるその日まで。
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