第12話 壺は割らないけど
ある日、勇者は柱の角にある小さな傷に気がつく。
いや、長年使われる中で生まれた傷にも見えるが此処は教会。聖域ということもあり、傷はあまり見かけ無いのが普通。
…普通で無いことが起きている?
という勇者のセリフから始まる。コレはお使いクエストの長編版って感じでずっとグルグル教会内を歩くんだよな、時々ある謎解きをクリアすると真相に近ずいた判定になるのか、ショートカットも出来るが1話飛ばした所で…という程長い。
だが、普通では無いことが起きている?というセリフ後これまで通りに教会内での生活を続けていると下っ端ラットを教会内で見かけるようになる。隅っこだったり、細い柱を音も無く走っているので見つけ難いが。
見つけ難く、捕まえ難い、そんな下っ端ラットを捕まえボスの所へ案内させることが出来る奴がいる。
キャット系だ、検証班が他の系統で検証を重ねるとキャット系が一番有効で続いて有効なのが同じラット系。
意外なことにラット系では友好的な反応を見せ、確率でボスの所へ案内する。確率なので下水へ繋がるマンホールや立ち入り禁止という札が貼られたフェンスへ連れて行かれることもある。
ちなみに例に出した場所は普段は入れずクエスト系でしか入れ無い為、金策途中で無ければワザとラット系を連れていく奴もいる。
他の系統では順従な振りをして、適当な所へ案内した後どんな拘束でも逃げてしまう。捕まえるのに苦労する挙げ句、結局ボスの所へ行けないのだから随分と損だな。
まぁそんな検証を何回も繰り返す検証班も凄いと思うが。
「ありがとうラット」
人一人屈めば通れる様な穴の前で俺はラットに礼を伝える。
ラットはあからさまにため息をつき、もう良いだろ?早く解放しろ
と言わんばかりに暴れた。
暴れてもレトの牙から逃れられないから無意味だが。
「レトもう良いよ」
その言葉でラットは投げられる、上に。
投げられたラットは逃げることも出来ずに消えた。
穴を通り抜けた先には金貨、銀貨、銅貨などの貨幣や、何らかの加護があるであろう剣などがあった。
本来正面から入るであろう所に裏から入っている為、ボスのレベルが通常+10な事、主人公とテイムモンスターだけでしか挑めないという制限もあるが、それを補うだけのショートカットは便利だ。
ちなみにクエスト後直ぐ自分で協会裏に行っても小さなヒビが壁に入っているだけで何もストーリーは進行しない。日数が経つことがこのクエストでは重要なのだ。
「此処の主は随分と御怒りなようだ」
クククと喉を鳴らすレトと、挑発する俺が勇者とそのテイムモンスターとは誰も思わないだろうな。
別に正攻法で剣を使っても良いんだけど、血が飛び散るし、俺も大きなエンペラージラットが死ぬまで剣を振るうのは疲れるから
「深球」
深海の様に光を通さない水が首から上にかけて球体を保っている。
視界を塞げるし、スリップダメージが強いから便利だよなぁ。
それに唯の水じゃ無くて深海というだけあって海水の方だから飲めやしない。海を知らなければ、尚更混乱するだろう。
「もうコッチは良いか」
チューチューとレトに弄ばれている下っ端ラット達を見向きすることなく飾られている武器や防具達を見て行く。
「武器はやっぱ聖属性が多めと」
今はまだ使いこなせるだろうが、闇堕ち後のことを考えた時にあまり惹かれる様なモノは無かった。
(お金は十分……)
「やっぱ裏か…?」
良い武器があれば最終段階に進める。
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