第8話 教会に到着
「勇者様、聖女様、よくぞお越しくださいました」
そう言って深々と頭を下げる老人、いや教皇サマ。この人は優しいけどスパルタな爺さんなんだよな。基本的には良い爺さんなんだけど、マジでキレた時、勉強の時、モンスターを倒す時はヤバい。
「そっそんな頭を上げてください!」
偉い人が頭を下げたからか慌ててそう言う聖女の幼なじみ。
別に俺たちは本当に教皇も頭を下げるくらいに聖職者関係ではトップなんだが…ここでそれを言うと印象が悪くなるか?
「俺たちはまだ何も成し遂げていません。頭を上げてくれませんか?」
「ほほっこれはこれは流石と言うべきか。お2人方は職業に選ばれるだけの人格が既にある」
爺さんは頭を上げた後に長い髭を撫でながらそう言う。
よく言うわ、俺らの性格を見る為にやった癖に…聖女は本当にお人好し、悪い奴らの口車に乗りやすい、そこを注意しなければならないとかそんな所。
俺は何だろう考えるだけの知恵はある、だけど少しこうと決めたらそれを曲げないタイプとか?
うーん…自分を客観視するって難しいな本当の俺、ゲームの勇者なら分かりやすいんだけど。
「こちらからは聖女様をシスターがお部屋へお連れいたします」
王都の聖域や教会は広い為、女性塔と男性塔みたいな感じで別れている。男性は女性塔へ緊急の時以外あまり行け無いみたいな感じか?
「よろしくお願いします」
聖女とはまた違った可愛さ、ホワホワ?している感じの笑顔をしてからそう言って頭を下げたシスター。そいつは俺も知っているあの有名なチョロシスターだった。マジか、結構凄いとは良くフレンドが話してたけど優秀だったんだな。
「じゃあユウまた後でね」
バイバイと手を小さく振ってくるので俺も振り返す。
俺は別れた後も教皇の後ろをついて行く、するとドアが並んでいる道に行き着いた。
「ここが勇者様のお部屋になります。綺麗に使ってくれると爺も嬉しいですぞ」
俺は苦笑いで
「分かりました」
と言い鍵を受け取る。
教皇の足音が遠ざかっていくと俺は部屋に声や物音が外に漏れないようにする為の防音結界を貼る。結界を貼ってる間は魔力を消費するが話す内容も内容だからな…
「レトもう良いぞ」
そう言うと頭に乗っかっていたスモールラットぐらいの大きさだったレトは部屋の床に降りた後シティーキャットぐらいの大きさに姿を変えた。ググー…と伸びをするその姿は本物のシティーキャットみたいだ。まぁ分類はネコモンスターだからどっか似る所もあるんだろ。
レトを撫でながらこれからどう動くか考える。でもまずは偵察とかよりも
「王都を見て周りてぇな」
そう王都は前世でいう都会だ。村とは比べもんにならないくらい賑わってるはず。
飯、物、土地勘が無いと分かんない事もあるか?
裏は何かそれっぽい所に行けば見れるだろ。表のことなら…チョロシスターに頼むか。村から選別で渡された硬貨もあるにはあるが足らない可能性もある。頼れるお姉さんとして、どうぞ見栄張って貰って。
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