第5話 怪我したシティキャット?
「おやすみ」
「おやすみなさい」
凄いよなぁ、屋根裏とはいえ平民の家で自分の部屋があるんだから。
さてと…
窓を開けて窓枠に足をかける。
「怖…まぁ行くしか無いけど」
一息吐いてから飛び降りるが風魔法で衝撃を無くす。
この世界の魔法は口で言わなくても良いのが便利だよな。魔法はロマンだから大体は口に出すけど。口で言った魔法と違う魔法を出すとかも面白そうだし。
「よし…探すか」
暗い街を歩いた先には昼と変わらない所に姿があったので俺はひとまず安心した。サイドストーリーで治せるのは分かっていたが予想通りなら居ない可能性もあったからな。
「ダークヒール」
うわぁ…やっぱゲームでもそうだけどジュワジュワと効果音がつきそうな治り方。俺が違うのを想像したらいいんだろうけどゲームで使われてたまんまの方がラクだから…闇魔法の治癒系は目立たないし、音も出ないし、で良いんだけど見た目がよろしく無いんだよな。個人的にはウォーターヒールが一番好き。水に治したい所を入れると炭酸みたいにシュワシュワと治っていくから。
そんなことを考えていたら怪我が治り意識がハッキリしたことで目の前の俺を見つめる姿がそこにあった。
「治ったか」
理解しているのかそのまま動かない。
サイドストーリーをそのまま進めるなら主人公はシティキャットが警戒しているんだと思いここで別れを告げて戻る。
だけど…俺は少し額を撫でた後にコイツも連れて物陰へ隠れる。
それから戯れていたりして時間を潰していると話し声が聞こえて来た。
「本当にここら辺で魔力埋め込んだ物が無くなってたんですかってくらい居ないですね」
「まぁな、でもここらが潮時だな。流石にもう一週間は探してるから主人もイライラしてる」
「俺らの首で足りるんですかねぇ」
「まだ居るし、あんまり食わせて無かったんだ。こんなもんだろ」
俺の隠れていた物陰を通り過ぎて俺が二人組より後ろの状態になる。奇襲は背後からが一番成功しやすいって良く言うだろ?さて、と…殺るか。ホントこれまた早すぎる卒業だな。流石に俺も気持ち切り替えてやんないと参っちゃいそうだけど。でも今躊躇ったらいずれアイツらは俺の邪魔になる。
鳥籠…
影が多い夜、路地ということもあり四方八方からシュルッと黒い手が伸びて二人の男を黒が覆う。
ちゃんと動け無くなっていることを確認してから転がして路地の奥に向かう。さてさて、答え合わせをしようじゃないか。
目を隠している黒をずらし視界だけ解放する。おーおー、一人は反抗的な、もう一人は怯えたような目をしちゃってさぁー…。別にあんたらを取って食う訳でも無いのに酷いなぁ。まぁ殺しはするけど。
「お二人さん、まずは俺の考察を聞かせてやるよ」
「初めにコイツはシティキャットじゃねぇだろ?」
そう言って見せるのは赤い毛色のシティキャットの姿をしたコイツ。
一人は反応しないように気おつけてたが少し視線をやった。もう一人はあからさまに動揺していたから分かりやすい。
「赤い毛色に鋭い牙が四箇所ある」
「この特徴だけを見るならコイツは血肉を食らい進化するブラットスティールレパードだ」
「Bランクのモンスター、何ならAランクにも行くことがあるモンスターがキャットなんて可愛いもんでもないだろ」
「まぁ今は子供だしキャットみたいなもんだけどさ」
「どうだ?合ってるだろ」
一人の目の色は変わらないがもう一人が分かりやすい。助かるな。
「まぁお前らの答えなんてどうでもいいんだけどな」
そう言ってから魔力を使い黒で目を覆う。せめてひと思いに殺ってやる。
首をナイフで切りゴミ置き場に捨て置く。
明日は焼却の日だし大丈夫だろ。多分…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます