第3話 木剣を合わせる

「父さん俺に剣のこと教えて欲しい。今のままじゃあ守れない」

「ユウ」

「何?」

「本心を言えばお前がやったことは褒められることではない」

「うん」

「だがな俺はお前が変わるきっかけになったと思う。俺の訓練は厳しいぞ?」

「望むところだよ」


ふぅー…流石に剣とかのことに関しては素人だからな。前の俺も父さんとやっていたみたいだけど遊びの範疇だからいざやろうとすると上手く振れなかった。


「最初は俺が受ける。何処からでもかかって来い」

「ッ」

どうせ元冒険者の父さんには敵わないので殺す気で俺は行く。ボアに向けていた木剣を今度は父さんに向ける。声は掛けない。

息を吸った後に飛び出して剣を横に振るう。だけど簡単に木剣で防がれる。剣の押し合いで負けることは分かっているので直ぐに剣を離し、正面に行ったあと剣を真っ直ぐ突くが簡単に受け流されてしまう。

「強すぎでしょ!」

「それなりに強かったからな、じゃあ次は俺から行くぞ」

と言われてから俺も直ぐに剣を強く持ち構えるが、父さんは予備動作が無く急に来た攻撃に構えていても耐えることが出来なかった。

逃げようとして俺が後ろに下がろうとすると父さんは剣を引いて蹴った。

「カハッ…」

モロに食らった俺は庭に転がった。

「逃げ腰になってる。ユウもっと攻めろ」

「クソッ」

これ絶対アザになってるだろ。

剣を片手で持った後、剣を後ろに走っていく。そして父さんに近くと剣を持っていない手で魔法で作った砂を目の前に投げる。

「ッ!」

父さんが驚くがこれで終わらない。太陽が後ろに来るように飛んだ後、高さが足りないため風魔法を使ってもう一度飛ぶ。

「二段ジャンプ」

そうすると太陽と俺が近くなって父さんは俺が見えなくなる。


勝った!と思い剣を上から振るうが…


「惜しかったな」

剣を搦められた後に空中から俺は落とされた。

「ハッ…はぁ…はぁ、疲れたぁー…」

「おう、お疲れさん最後は俺もやられたな。ユウお前は手数が多い、双剣なんかが良いかもな」

「うん、参考にするよ…」


「水浴びてくる」

「砂だらけだもんな、行ってこい」

「うん」


魔法でお湯を出した後にお湯で汚れを流す。

「もう少しやれると思ったんだけどな…」

これで闇堕ちルート入れんのか?使う予定の無かった魔法を使わされることも予想外だったし…魔法を使わないと一矢報いることも出来なかった。


やっぱりもっと強くならねぇと。俺の旅の邪魔をされることが無い強さが欲しい。勇者はチートだし、明日の俺はもうそれなりに剣を使えるかもしれない。だけどそれじゃあ足りない。経験が俺に足りないんだ。これじゃあ闇堕ちルートに入るために必要な聖域での虐殺が出来ない。聖騎士はバケモンだそのバケモンに俺は勝たなくちゃいけない。


はぁ…

「先がなげぇな」


暫くしたらはあいつらと遊ぶか、心配かけてるみたいだし。未来の勇者パーティの聖女と賢者だ気になん無い訳が無い。闇堕ちルートに入ったらもう会うことは無いが今は幼なじみだ。


だけどもう少し父さんから技術を盗みたいし、闇魔法のレベルも上げたい。






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