野次がれて

後悔

『彼氏出来た』とメッセージと写真が送られてきた深夜一時。それ眼鏡越しで目にして「嘘でしょ？」とあたしは勉強の手を止める。

　写真にはいろはとさっき警察署で会った男が写っていて、何故かうどんとざる蕎麦を持っていた。

「はぁ……」

　頭を抱えながらため息を漏らす。

　別にあたしは、いろはが誰と付き合おうが構わない。

　構わないと思っていた。

　先月に行われた、あたしが応援している県外のサッカーチーム「サイクロンズ」の試合。

　その試合にいろはを連れて行って、怖い思いをさせた事を後悔している。勝って当たり前のチームで、負ければ過激な言動をするサポーターが多いって解ってたのに。

　連れて行った理由は、観戦チケットがたまたま手に入り、一枚無駄にしたくないから友達のいろはを誘った。

　今考えると、強引だったと思う。県外に旅行しようって言って、何の説明もなしにスタジアムに連れて行き、赤のユニフォームを着せて。本当に反省しないといけない。

　でも。

　負けてあの異常なまでの雰囲気の中、いろはを見てあたしは

　あの顔を誰にも見せてはいけないと、思った。

　ましてや、いろはが好きな人の前では絶対に。