見せても良いよね?



 懐かしい人に会っちゃった。小学生以来に。

 相変わらず格好良くて、告白に一生懸命で、


 私が小学生時代に振った元彼。


 別に嫌いな所があった訳じゃない。むしろ、好きな所しかない。優しいし、私を楽しませようと全力で笑わせてくるし。まぁ、私の事を覚えてなかったのは残念だけど。背が伸び過ぎて気付かなかったのかな? あの時も小学生にしては、大きい方で目立つ方だと思うけど。

「いろは、ちゃんと嫌だったらはっきり断らないと駄目よ?」

 信号を渡り終えてしばらく歩いていると、下の方からゆかの声がする。けど、私とゆかでは身長差があり過ぎて良く聞き取れない。だから、しゃがんで「うん?」と聞き返した。

「たがら、さっきの男。嫌いだったら嫌いって返して?」

「ああ、そうだね。でも、あの人別に嫌いじゃないよ。むしろ、好き」

「……そうなの?」

「うん」

 正直に言ったけど、ゆかは「うわぁ」と苦い顔をする。

「どういう顔?」

「ああいうのが好きなんだってドン引きしてる顔」

「? そんなに酷い人じゃないと思うけど」

 うん、酷い人じゃない。酷いのは、私の方。

 嫌な顔を見せたくないってだけの理由で、光一君と別れた自分に嫌気が差す。

 だけど、今ならその顔を見せても……。


 

 

 


 

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