「エピローグ」
「その余燼」
────────六年後。
「蠱毒」がとうに過去の出来事となった世。とはいえ世界に蔓延する敵性存在は後を絶たず、日夜あちこちで闘争の日々が続いている。
それでも私達は、この場所にしがみつく他なかった。あの修羅場を切り抜けるため宿してしまった異能。それが逆に私達を縛り付ける枷となってしまったから。
逃げ出すこともできず。しかしそのおかげで手に入れた立ち位置はこれまでよりもよっぽどマシなものだった。
街を往く大型ワゴンの車内、いつもの他愛ない会話が交わされる。
「ねえ、今日昼どーする?」
「いつものとこ行きます?」
「昨日も行ったけど。」
「別にいいよ同じでも。あそこなら三日、いや四日くらいは通いづめでもいける。」
「確かに。」
特殊事象・異常犯罪対策庁東京本部、第二課二係。通称、「
直接戦闘を主たる任務としない部署、かつそのサポートすら担わない、完全な裏方として動く部隊。「
もちろん凄惨な現場に何度も立ち会うことになるが、関わりが間接的なために常に死と隣り合わせでないところが最も大きかった。
死体にトラップの類が仕掛けられていたり、出動にあたり見切り発車をされることがあったり危険はあるにはあるが、
『すみません、こちらは第一課の名厨。繰り返します、第一課の名厨です。』
車両に備え付けられた液晶ディスプレイをタップし、今やビッグネームとなった青年からの要請を受け取る。
「こちら「
『そちらから南西方向約一キロ、不明な
『後処理お願いします。万が一の場合は僕がなんとかします。』
「...了解、位置把握しました。向かいます。」
「
「もちろん!」
大体こんな感じ。
まあ、ずっとこんな感じだったか。
【番外編】デミ・ワンダラーズ ~警視庁公安部・特殊事象対策課・機動支援係~ Imbécile アンベシル @Gloomy-Manther
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