第20話 愛知県名古屋
「「カニ食べ行こう〜」」
「「割り切って行こう〜」」
今現在チェリーブロッサム号は、高速道路を景気良く走っていた。
傑と圭佑は景気良く歌を歌い、窓から入る気持ちいい風を感じている。
「優ちゃんのかける音楽初めて聞くけど、ドライブにいいね!」
「そうでしょう? 昔の曲も悪くないのよ」
「高速走ってる時ぐらいしか、音楽なんてかけられないよね」
「まあ普通ならゾンビ寄って来ちゃうからね」
「そういえば名古屋ってどの位で着きそうなの?」
「そうね〜。何もなければ今日には到着するけど、大ちゃんどうする?」
「サオリママからどこへ行けばいいかって優ちゃん聞いてます?」
「名古屋に行くって事だけよ。その他は聞いてないわ」
「名古屋にあるサファイアって店を目指せって書いてあるんですけど、知ってます?」
「知らないわね。でも飲み屋街に行けばいいと思うからそこを目指せばいいと思うわ」
「なるほど。それじゃあ優ちゃんよろしくお願いします」
「は〜い! じゃあ少し飛ばすわよ〜」
夕方になる前には愛知県に入り、名古屋に到着した。
「スゲ~。名古屋もかなり都会だなー!」
「そりゃあ茨城と比べたら都会でしょうよ傑くん」
「飲み屋街はここから近いんですか?」
「今までの道のりと比べたらすぐそこよ。栄って街よ」
僕等を乗せたチェリーブロッサム号は栄という街に到着した。
「新宿みたいだねここ」
「そうね。ここが飲み屋街として有名だからね」
「でも飲み屋が多すぎて、サファイアって店探すの大変だよ」
「誰か外歩いてないかなーー! 大介これ時間かかるぞ」
「サオリママ詳しく場所書いといてよマジで!」
車をゆっくりと進めながらサファイアと書かれた店を探すが、全く見当たらなかった。
もう一度道を走らせて探すが、やっぱり見当たらない。
「万事休す!! 大介どうする??」
「夜になったら変わるかな? 誰か人がいれば聞くことが出来ると思うんだけどね」
「こういう時は食事にしましょ! 私が作ってあげるから」
「優ちゃん料理出来るの?」
「当たり前じゃない。料理は女の嗜みよ! あんた達はゲームでもして待ってなさい」
「じゃあ優ちゃんにお願いしちゃおうかな」
「任せなさい」
優ちゃんはキッチンに立って、鼻歌まじりに調理を始めた。
傑と圭佑はテレビゲームを始め出した。
「大ちゃんも一緒にやろうよ」
「ちょっと1人で街の様子見てくるよ。30分位で戻ってくるから」
「マジで!? 大介気をつけて行ってこいよ」
「了解」
僕は車から降りて街を散策する。
高いビルが両脇に建ち並び、1階からほとんど全てが飲み屋のビルが多い。
ここから1軒の店を探すのは確かに難しいと僕は思った。
すれ違うゾンビを退治しながら、反応がないか試してみる。
だが街は静かで、人がいるような気配が全然しなかった。
一通り見た後僕はチェリーブロッサム号に戻ると、テーブルの上には美味しそうな食事が並べられていた。
「じゃあ皆でいただくわよ!」
「「「「いただきます」」」」
「若いんだから、沢山食べないとね」
優ちゃんの作る料理は美味しかった。僕は料理には結構自信があったけど、レベルが違かった。
「優ちゃん! 料理を美味しく作るコツってあるの!?」
「あ・い・じょ・う・よ!」
全く参考にならない返事が返ってきた。
食事を終える頃には辺りはすっかり夜になっていた。
優ちゃんの提案で、栄にあるビルの屋上に上って街を観察しようとなった。
僕らは、見晴らしの良さそうな高いビルの屋上に上る。
「ここなら街の様子をよく見えそうね」
「暇だろうからボードゲーム持ってきたから遊ぼうよ」
「いいね圭佑やろうか」
「そんな事したら街の様子見れないじゃん」
「まあそんな固いこと言うなよ大介」
テーブルや椅子を出してランタンなどを置いて、優雅に街を観察していた。
だけど夜になっても建物などから明かりが見えたりしなかった。
「大ちゃん、場所ここじゃないんじゃない? 人がいる気配なくない?」
「確かにそうだよね。優ちゃん名古屋って他に飲み屋街ってないんですか?」
「ある事あるわよ〜」
「2、3日ここにいても何も分からなかったら移動しよっか」
「OK! じゃあ次大介の番だからサイコロ振って」
遠くの方で車が走っている音が聞こえた。
結構な台数で進んでいるような音だった。
だんだんとこっちに近づいてくる。
「明かり消せ!!」
すぐに明かりを消す。真っ暗になり何も見えないが音だけは聞こえてくる。
何台もの大きな車がこの街にやってきて、ヘッドライトが街を照らしていた。
「なんだあれ」
「皆伏せて伏せて」
全員で腹ばいになって伏せて、屋上端から少し顔を出して様子を見ていた。
「なんだか軍隊で使いそうな車両だね」
「……」
車の中から迷彩の服を着た自衛隊らしき人達が何十人と降りてくる。
いくつものチームを作り、ビルの中へ手分けして入っていくのが見えた。
「何してるんだ?」
「人の救出とか?」
「どうかしらね……」
「やめろ!! 離せ!!」
迷彩服を着た人達が、ビルから人を引っ張り出していた。
捉えられている人は騒いで暴れいる。その様子は救出しているようには到底見えない。
引っ張り出された人は、彼らが乗ってきた車両に押し込まれていた。
「どう見たって救出じゃないよね大介。というかやっぱり人が居たんだね」
また違うビルから人が引きずり出されて車両の中に消えていった。
「あの人達助けたら情報聞けよね?」
「え!? 大ちゃん助けるつもりなの?」
「無理だろ!! 銃っぽいのとか持ってるぞ」
「優ちゃんどう思います?」
「人数もあっちの方が圧倒的に多いしね。作戦がないと助けるなんて難しいわよ」
「勿論作戦はあります」
「どうするつもりなのかしら?」
僕は皆に作戦を伝える。
「はぁ!? 大介マジで!? 大丈夫なの!?」
「まあ任せて! 大丈夫だから。じゃあ行こうか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます