第40話 入れて欲しいの

「へへへ。でも……今、あの部屋は生まれ変わりまして」

 

「……あん!? どういうことじゃ!?」


「いや……部屋だけじゃないですね。全宇宙平和 愛融合教団自体が生まれ変わったんです。そう……マスターヨリミチの手によってね……へへ」


「なにがあったんじゃ?」


「へへ……いやぁ、この2週間は本当に凄かったんですよ。ココは元々黒い噂が絶えないところだったんですよ。ほら、性的搾取ってヤツですよ。教組の『プレジデント・ステージア』……まあ本名は山田ってんすけど……バイセクシャルのド変態でして。自分が気に入った老若男女を愛注入の間で……」


「全部言わんでええわ! ちっ! ワヤ(無茶苦茶)じゃのココは……」

 

「まあ、全員が全員ってわけじゃあないんですけど。お気に入りのメンバーがいまして……そいつらココで結構な権限を与えられた『ラブメンバーズ』って呼ばれるヤツらだったんですが……その中に泣きぼくろさんも居たわけです」

 

「なにぃ!?」

 

「それを知ったマスターが獅子奮闘の活躍ぶりでして……へへへ。いやぁハードボイルドってのは彼みたいなのを言うんでしょうね。まるで映画でしたよ。ミッションインポッシブルみたいで。最後教組を追い詰めた時なんか……カッコよかったですよー「愛を……愛をなめるんじゃありませんよ!」って」

 

 なに……それ。え? マスターさんが?

 早乙女さんが聞いたら唇噛んで悔しがりそうだなぁ……

 ん? ってことは、マスターさんは泣きぼくろさんに会えたってこと?

 

「んで、それが2日前のことなんですがね。そこからマスターの様子がおかしく……」

 

 バンッ!

 

 勢いよく開いたトイレのドア。見るとソコには

 

「ここにいたのか! 探したぞ拓!」

 

 ぜ、全裸の早乙女さん。

 なんで全裸?

 ヒィッ! ま、まさかボクの事を……ぎ……

 

「ぎゃああああああああああああ!!」


 ボクは逃げました。


 そりゃあ逃げますよ。全裸の男が名前呼びながら近寄って来るんですよ。普通逃げますよ。

 突き飛ばして逃げましたよ。

 でも早乙女さん素早く立ち上がってボクを追いかけてくるんです。もの凄い速さで!

 長い直線の廊下。このままじゃ追い付かれる!


 あ。ここのドア開いてる!

 

 ボクは急いで鍵を掛けました。


「おい! 拓! なぜ逃げる! 入れろ・・・! 頼むから入れてくれ・・・・・!」


 い、入れろ? ヒィイイイ! そっち・・・なの!?


 早乙女さんは一体なに・・どこ・・に入れろって言うのさ!

 

 

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