第49話 俺TUEEE?
帰ってきました、ゴメスです!
カットされ、異空間に切り離された俺が何故戻ってこれたか?
それは、原作web版の感想欄のお陰だ!
『カットして消したはずのマケイッヌが弓矢打ってますけど、もしかしてミスりました?w』
←『カットは一定時間しか異空間に閉じ込めておけません。常識的に考えて異空間にずっとなんて変でしょwもしかして分かってない?w』
ありがとう作者! 後付け設定のお陰で俺は脱出できた!
「ゴメス! ゴメス! ゴメスゥウウウ!」
何回呼ぶねん。トレスが叫びながらすっごい顔で睨んでるけど、やだイケメン。
ラノベ世界でも、前世のドラマと一緒だな。ごく平均的な男子高校生の顔面偏差値高すぎ君だ。
そして、ツルツルおじさん、ゴメスさん。一生懸命かっこつけてますけど……。
「ゴメス! ゴメスウウ!」
「ゴメスさん!」
「ごべぇええずうううう!」
「ゴメス……!」
何回呼ばれるねん。
すっごい叫んでるヒロインズに囲まれてる。いや、今、ちょっと……
「邪魔すんなあ! 空気読めよ!」
トレスがまっとうなことを言っている!
今までずっと謎のタイミングでイチャイチャしてたメチャモテ主人公がここにきて!
「ゴメス……帰ってきてくれたところ悪いけど、さっさと退場してくれ。オレの世界にお前はいらねえ! いらねえんだよ!」
トレスさん、ぶっ壊れ。
まあ、分からなくもない。無自覚チートを貫くにはこの世界は矛盾が多すぎた。
ガチサイコパスでしか無自覚チートのままでいられないよな。
今のトレスは自分の中の矛盾を抱えきれずぶっこわれた。そんでもって、世界をぶっこわそうとしているわけだ。
自分のご都合世界に作りかえる為にリセットボタンぽちーなわけだ。
だけど、
「トレス、悪いけどさ、おっさんもいらねえと言われてはい失礼しましたって出来るほど素直な生き方してねえんだわ」
「は! ゴメス……お前に何が出来る? お前みたいなSUGEEEしか言えない男に!」
トレスが大量のコピートレスを生み出し始めている。あんな増量チート相手に俺が勝てるわけがない。みんなトレスにそっくりだ。こわ!
「全部ぶっこわしてやる! そのあと! 全部【アンドゥ】で戻して、全部思い通りに作り替えてやる! お前を除いてな! ゴメス!」
「光栄だね。そこまで俺を恐れてくれるなんて……」
そう告げると苛立ったトレス達がギリと歯を食いしばり、俺を睨みつける。
気持ちは分かるよ。理屈も分かる。だって、俺はゴメスだからな。
ヘイトコントロールが得意で、最初に攻撃される前衛ゴメスさんなんだからなあ!
「今だ! いけえ! お前ら! お前らはSUGEEE!!!!」
俺の声を合図に、魔力の線が奔る。これはヒナによるサインの線。
全員を指揮する為にキアラと編み出した魔法の一つ! マジでSUGEEE!
その指示に従い、一斉に攻撃を仕掛ける冒険者達!
「「「「「「「「「な……!」」」」」」」」
はずコピあるある! 基本的に先手はとれない!
大体一手目は敵に譲るのがトレス! そっから逆転した方がチートが目立つからな!
思惑通り冒険者達の一手目が入る! 流石ヒナに鍛えられた冒険者だ、強烈な一撃。トレスはすぐに元通りにすればいいと思っているんだろう。ダメージの表現が派手で吹っ飛んでいるが、華麗に着地。
「「「「「「「「「馬鹿が! 【アンドゥ】!」」」」」」」」
【アンドゥ】スキルで元通りにするトレスたち。だけど、【アンドゥ】を使うその瞬間がねらい目!
「いけええ! 秘密兵器!」
俺の指示で黒マントを纏った秘密兵器が飛び出しトレス達を狙う。
「はん! すぐに【コピー・鉄壁】スキル発動でノーダメージだ!」
そう、【アンドゥ】で攻撃を仕掛ける隙は作れても、【鉄壁】という最強の盾がある以上、トレスには歯が立たない。俺の攻撃なら。だけど、
「トレスなら! どうだぁあああああああああああああああ!」
【コピー・ムーブ】&【コピー・飛翔】による高速移動により黒マントが破れ現れたのは……トレス!
「オ、オレ!?」
本体トレスも驚いている。やっぱり気づいてなかったんだな。一人コピートレスが勝手に動いていたことを。
『(コピー)外れスキルだけど、いくゼェエエエエエ!』
はずコピあるある、トレス最強。それは揺るがないのかもしれない。だったら! 目には目を、トレスにはトレスを作戦!
全肯定トレスガールズ。その中に一人こっち側の人間を紛れ込ませていた。俺の知っているえっちなお店のお姉ちゃんだ! 【神言】によってパワーアップしたお姉ちゃんにお願いし潜り込んでもらった。しっかりアフター料金はとられたがそれは対価だ仕方がない!
お姉ちゃんはトレスコピーの一人を言葉巧みに誘導。
そして、一手目譲るコピートレスの隙を突き、シロが魔力体力盗み、ドウラとキアラで固定、コピートレス魂をヒナが奪取し、新しい魂を埋め込んだ。
それは……。
「な、なんだコイツ! オレが操れないコピー! まさか他の魂を!?」
「SUGEEE! コピートレスの身体からコピートレスの魂を抜き取り、この先にある精霊の森にいるSUGEEE精霊パックに頼み込んで入ってもらったけど、短時間でもう自分のもののように扱っているトレスパック、略して、トレックSUGEEEぜ!」
俺の【神言】を受けたトレックがサムズアップして、【コピー・斬鉄】で一気に【コピー・鉄壁】のコピートレス達を薙ぎ払っていく!
そう、さっきの俺の解説の通り、コピートレスの中身は、原作で竜の戦争の後始まる、精霊の森編で登場する悪戯妖精パック。これは、精霊の森での試練をコピートレスで圧倒したあと、そのコピートレスの一体に悪戯妖精パックが入り込みヒロインズに色々とえっちな悪戯をするお色気回。原作の展開を知っていた俺はこれを利用した。
山賊編でトレスが夜な夜な全肯定トレスガールズと致している間に、俺はヒロインズと共に原作の先回りをして精霊の森へ。そこで、精霊王を説得、さらに、パックを褒め尽くし仲間に引き入れた。
『いやあ、パックマジでSUGEEEよ。それに、お前は実は仲間想いで、自分の悲しい過去でみんなに気を遣わせないようにお茶らけていたんだろ。マジでやさしいよ』
『い、いやあ、そこまででも、えへ、えへへ』
そして、事情を説明し仲間に。その後、色々乗り越えてコピートレスの仲に入って操作してもらった!
「く! くそ! なんだコイツ! オレのコピーの癖に、他のコピートレスより強い!?」
そう、トレスの言う通り、トレックは強い。トレスを倒すために、一緒に努力を重ねてきたから! キアラの魔法講座を俺と一緒に受け、ヒナの戦術戦略講座を俺と一緒に受け、ドウラとシロの体術・武術講座を俺と一緒に受け色々な知識と技術を一緒に習得している!
なんで俺が巻き込まれたかはわかんないんだけど! ずっと一緒に教習を受けていました! 先生たちが楽しそうでなによりでした!
『よくここまでの修行に耐えたわね。貴方ならトレスより立派なトレスになれるわ! そうだ! 名前どうしよう? 同じトレスで呼ぶわけにはいかないわよね……トレスパック……トレパック!』
『トレックで』
修行の中で、そんなやりとりもあった。流石にトレパックは可哀そうすぎる。彼はもうほぼオリジナルと言っても過言ではない。
そして、そのトレックが強い理由はまだある。
「うおおおお! トレックSUGEEEぜ! 流石、シロが手に入れてきた最強装備を身につけているだけあるぜ!」
この次の次の話で登場するドワーフ鍛冶王編の鍛冶王の所に先回りして俺が褒め尽くし、最強装備を作ってもらった。ちなみに、原作ではトレスが千年受け継がれてきた鍛冶王スキルをコピーして、ヒロインズに素敵でなぜか露出の多い装備を作ってあげる回。
本作ではまっとうな装備を作ってくれた鍛冶王。そこで、シロが今まで貯めていたお金で最強装備の為の費用を払ってくれた。その費用は俺が少しずつ返すことになっているんだが、何故か俺の分の最強装備も準備されていて、装備させられた。
『いひひ、ゴメスがボクの買ってあげた装備に包まれて……はぁはぁ、ボクの……』
とりあえず、お金を無駄遣いしないことと、ちゃんと契約をするようにしていることは褒めておいた。
そして、
「うおおおおおおお! トレックSUGEEEぜ! キアラが魔法効果を付与した装備をしっかり使いこなしてるぜ!」
この次の次の次の話で登場する付与術師カード決闘編の付与術の天才であるカード決闘王の所に先回りして俺が褒め殺し、キアラに付与術を教えてもらった。ちなみに、原作では何故かうっかりミスをしたトレスによって【性欲】も付与されてとんでもなくえっちになったヒロインズに襲われるというどすけべ回。この辺の原作はとてつもないエロ方面に走ってしまってめっちゃ叩かれてこのあと軌道修正する。
本作ではキアラが真面目にアイテムに魔法を付与する方法をカード決闘王の元で学び、鍛冶王の最強装備に魔法付与で強化してくれた。俺のは別に無理しなくて大丈夫って言ったのにキアラは無理して付与してくれた。
『え、えへへ……アタシが、ゴメスに何かしてあげたいだけだから……』
とりあえず、誰に対してかは置いといて献身的なことを褒めておいた。
そして、
「うおおおおお! トレックSUGEEEぜ! ヒナに魂の強化を、ドウラに身体の強化をしてもらって滅茶苦茶TUEEEぜ!」
そう、本来鍛えることが難しい魂だが、この次の次の次の次の精神世界編で魂に触れることの出来る人間によって魂は鍛えられて魂が鍛えられると次のステージにいけることが明らかになる。ちなみに次のステージというのが具体的に何かは知らない。原作で語られていない。意味深に【】かっこつけられていたがはっきり語られてはいなかった。とりあえず、強くなる。その知識を生かし、ヒナに頼んで魂に干渉し鍛えてもらった。
何故かゴメスの魂も鍛えられ次のステージに行った。
『う、うふふ……ゴメスさんの魂に干渉しちゃいました……』
とりあえず、なんか褒めといた。
そして、ドウラに頼み込んでトレックに竜の血を呑ませてもらった。原作ではこの次の次の次の次の次でドウラに血を口移しで呑ませてもらい覚醒するトレスという回があり、トレスも竜の血を耐えることが出来るのは分かっていた。なので、竜の血を献血してもらおうとしてた。最初は断られていたが、竜の戦争後めちゃくちゃ勧められた。
トレックに与えられたのは何故かギティルさんの血だった。深くは考えまい。そして、トレックはパワーアップした。
その後、何故か俺はドウラに色々手作り料理を食べさせられた。
『あ、あははは……ゴメスが儂の……』
とりあえず、材料や調味料が何か分からないけど美味しかったので褒めておいた。
何はともあれ、原作先回りで強化しまくったコピートレス、トレックだ!
他のコピートレス達を圧倒していく! その上。
「くそくそくそ! コピーの癖に! オレより強いとかおかしいだろ!」
『え? いや、オレは強くないよ。ただの外れスキルだし』
「あ、ああああああああああ!」
めっちゃ煽る。この辺は悪戯妖精の名残だろうか。
「強いだろうが!」
『え? いやいやいや』
「強いんだよ!」
『え? いやいやいやいやいや』
「強いってなんでわかんねえんだよ!」
『いやいやいやいやいやいやいやいやいや』
めっちゃ煽る。トレスに特大ブーメランをぶちかましている。
はずコピあるある! ブーメランは基本無視!
そして、戦闘は進んでいく! 大量のコピー軍団が襲い掛かる。
だが!
「くそ! お前らも動きが悪すぎだろ! なんであんな雑魚共に気を取られているんだよ!」
トレスがコピートレス達に対して苛立ち交じりに吐き捨てる。そう、コピートレスの動きが悪い。
ヒナに鍛えられた冒険者達に気を取られるコピートレス達。
それもそのはず、彼らの多くは……このあと原作で登場する予定の人物たちなのだ!
恐らく原作準拠主義のトレスのコピー達は、原作であればこの後AGEしてくれていたキャラを消滅させたらAGEしてもらえないという思いが頭によぎっているのだろう。一瞬戸惑うのだ。その戸惑いを見逃さずトレックが攻撃し葬っていく。
彼らをこんな風に使うつもりはなかった。だが、彼らは自ら戦いたいと名乗り出てくれたのだ。復讐する為に!
「マケイッヌあまり前に出すぎない! 後方支援で十分です! ネコ=ドローボ、ザコ=シー、モブモブ太と固まって行動! いのちを大切にしなさい!」
「はい!」
ヒナの指示に従い動く雑な名前のキャラクターたち!
作品の為に雑な名前で生み出された彼らに俺は声を掛けた。この後彼らは大体ひどい目に遭う。だけど、それはチャラ神に作りだされた運命なのではと考えた俺は試しにと【神言】による説得を試みた。すると、彼らは原作から外れる道を選んでくれた。
もっとまっとうな道を歩みたいと。
分かりやすい名前はギャグ作品の基本だ。だが、やっぱりリアルに出会うと不憫で仕方ない。
彼らが自分の名前を誇れるように、みんなに褒めたたえられるように活躍させてあげたい。
トレックもそうだ。
トレパックは可哀そうすぎる。
それに、
『うおおおおおおおお!』
「くそ! コピーの癖に! コピーの癖に! なんでそんな動き……!」
トレックは努力した。
俺の言葉に耳を傾け、みんなの指導を真摯に受け入れ、無自覚チートではないちゃんとした努力チートと化した。トレスがなれなかった姿に。
トレックは『困難で長い旅、しっかりと歩む道のり』。そんな意味を込めてつけた名前。
「トレック、SUGEEEぞ!」
「はい! みんなのお陰です!」
その言葉に裏も何もない。ただ純粋な自分とみんなへの評価と感謝で溢れている。
面白くはないかもしれない。だけど、かっこいいヒーローだ。
このまま行けば勝てる!
「ふーん、創造重力魔法【グラビティ】。アタシが一番SUGEEEのよ……!」
「うふふ……闇よ、彼らの魂を奪いなさい。一番にはなりたいですねえ」
「誰よりも早く多く倒す……! ボクが一番だもん!」
「あははは! 儂が一番の強者じゃ!」
なんかヒロインズがトレックを褒めてから凄い圧が上がったから凄いいける気がする!
だけど、
「なんだよ……おかしいだろ……おかしいだろうがあああ! こんなのぉおおおお!」
世界はやはり理不尽だ。
トレスの身体が輝きだす。
懸念したことが起きやがった。
ご都合覚醒。
原作のもう少し先で起きるはずだった覚醒。ドウラの血の口移しで目覚める力。
それは……
「スキル【AI(アイ)】」
全自動で学習し、スキルを身につける力。
チート中のチートだ。
ああ、くそ。
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