第33話 その頭領、HOGEEE!
ワタシ、ゴメス。今、誘拐されているの。
きゃああああああああああああああああ!
なんで!? なんで!? なんで!?
まあ、原因は親切なおしゃべり盗賊野郎が教えてくれました。
金持ちだからだそうです。
きゃああああああああああああああああああ!
なんで!? なんで!? なんで!?
まあ、そう思った理由はおしゃべり盗賊野郎が教えてくれました。
どうやら前の街で、俺がキアラの指輪やヒナのペンダントを大金出して買っているところを見て、二つともぽんと買っていくなんて、なんてお金持ちなんだと思ったらしい。
……。
馬鹿か!
ばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかか!
こちとら原作通りにするためにお姉ちゃんの店にいくのも我慢して財布すっからかんになって、泣く泣くアクセサリー買った貧乏人ぞ。なのに、原作の為に買って原作通りには人間関係いかず財布の中だけ原作通りのすっからかんぞ。泣くぞ。
まあ、なにはともあれ捕まった。両手足縛り付けられてるなう。
「ゴメス……ごめんね……」
ワタシ、ゴメス。今、シロの隣にいるの。
きゃああああああああああああああああああ!
なんで!? という理由も必要ない。シロが隣にいる理由ははっきりしている。
原作通りだ。
「ようこそ、百足蜘蛛盗賊団の住処へ」
と、いうわけで、昔シロがいた大盗賊団、その名も『百足蜘蛛盗賊団』のアジトにつれて来られました。
シロ編突入。
ただね、原作ではねシロだけが連れていかれるのよ。ゴメスも攫われたなんて展開ないのよ。原作ではゴメスは、シロが連れていかれているところを見て、ボコされて。
『や、奴ら……動きが早すぎる……いくらトレスでもあの早さじゃあ……』
と言って、今回のシロ編のキーポイントは早さにどう対処するかですよ、と説明する役。その為だけにボコされる役。原作では。
だけど、完全にもう違うからね。変なルート入ってるからね。俺とシロが知り合いって言うのもバレて、何故かお隣同士で両手足縛り付けられてるなう。
「さあてぇえ? おっさんは金を出せぇえ。シロはおれたちの仲間に戻ると言えぇえ」
ワタシ、ゴメス。目の前に百足蜘蛛の頭領がいるの。
きゃああああああああああああああああああ!
ナ、ナ、ナイフなめてるぅうううう! 本当に舐める人いるんだ。めっちゃ怖え。ベロ切りそうで怖すぎるんだが。というわけで、頭にめっちゃ足のある蜘蛛のタトゥーを入れた頭領がめっちゃ圧をかけてくる。ちなみに、頭ツルツル。仲間。
「なあ、シロォオ? お前の罠解除や暗殺技術が必要なんだよぉお」
「何度言われても戻る気はないよ」
秒で答えるシロ。流石ウチのスピード自慢。レスも早い早い。
あと、結構イライラしてる。理由は明確である。
トレスが、また、致しました。
まあ、原作でもシロ編でトレスが二人目と夜のナニナニを致したことが発覚し、シロが拗ねてゴメスを連れて出かけた先でこの前のキャル率いる盗賊団に襲われ拉致られる。
だが、原作ではトレスさん、キングデーモン編で好感度マックスまで上げ切ったヒナさんと致す。致して、【アンドゥ】という失ったものを元に戻すことの出来る(ただし、魔力はすげー使う)チートスキルを手に入れてチートのチート盛りと化す。
本作では、トレスさんキングデーモン編で捕まえたキャルさんを庇って優しくして好感度マックスに、致す。チートスキルゲット、となった。
なお、キャルさんは『落とし前をつけてくる』と言って去ったらしい。なので、多分、今アジトのどこかにいる。
まあ、とにかくキャルと致したことが明らかになり、飛びだし捕らえられたのが隣のイライラシロさんである。
……。
きゃあああああああああああああああああああ!
なんで!? なんで!? なんで!?
原作も拉致されてなんですけど!
ちなみに原作だとこのあと、こうなる。
『おいおいシロォオ、随分な言い方じゃねえか。あれだけ一緒に悪さしたお前がよぉお?』
『……ぅ』
『勇者の一行だかなんだか言われてよお調子に乗ってるみたいだけどぉお、お前は過去にとんでもねえ数の罪を犯してるんだぜぇえ? それをみんなが知ったらどうなるかなぁあ? みーんな、お前の事を嫌う。手のひら返したようにぃい』
『そんな……!』
『よぉく考えろよ、シロォオ? どうすべきかをな? お前は……真っ黒なクソガキなんだ。お前がいられるのは厭らしい蜘蛛が這いずり回る此処なんだよぉお』
『う、うぅ……』
そして、シロの苦悩。それを吹き飛ばす為に助けにくるトレス。
トレスたすけて! と、叫ぶシロ。
シロを助ける! と、叫ぶトレス。
そして、チートぼかーん。二人、イチャア。
これが原作。
そして、本作。
「おいおいシロォオ、随分な言い方じゃねえか。あれだけ一緒に悪さしたお前がよぉお?」
「……確かにボクはやっちゃいけないことをやった。でも、知ってるんだよ。あんた達が何も知らない子どもたちを集めて洗脳していたって。ボクもその一人だって」
原作だと『……ぅ』しか言わないシロさん。めっちゃ喋る喋る。
ちなみに、正義と悪編で捕まえた罪人が吐いた内容らしい。
本来は、そいつが吐くわけでなく、この百足蜘蛛盗賊団編で頭領が吐いて明らかになる。
のだが、あの罪人が原作にない反トレス派キアラにめっちゃボコられたせいで捕まったあと色々白状したらしく、その中に、百足蜘蛛盗賊団に協力していたという情報が。
原作では、ただ、『アイツ嘘つきでしたよ、やっぱり捕まえようと言ったトレスさんSUGEEEや!』くらいしか言わない伝達係兵士型トレスAGEキャラがめっちゃ罪人の白状話を喋ってくれた。
それを聞いたツルツル型トレスAGEおじさん、こと、ゴメス白目。
シロ、キレ目、というか、キレてた。
トレス致したにもキレてたけど、それにもキレてた。
ということで、弱るどころかバトる気満々のシロさんのレスを受けて怯む頭領。
頭の入れ墨蜘蛛に汗がついてる。
がんばれ! 原作の為に!
「ゆ、勇者の一行だかなんだか言われてよお調子に乗ってるみたいだけどぉお、お前は過去にとんでもねえ数の罪を犯してるんだぜぇえ? それをみんなが知ったらどうなるかなぁあ? みーんな、お前の事を嫌う。手のひら返したようにぃい」
「そんな……たとえそうだとしてもボクは牢に入って罰を受けるよ。どうせ……トレスはキャルと……ふ、ふふふ……」
原作だと落ち込むシロさん。めっちゃヤンデルヤンデル。
まあ、原作であれば愛するトレスにそんなことがバレたらという気持ちがあるんだろうけど、元盗賊仲間のキャルさんに先取りされればそれはもうお察しします。
自暴自棄気味である。
というわけで、落ち込むというより闇堕ち込む感じのシロさんのヤミを受けて怯む頭領。
頭の蜘蛛は汗だくである。
が、がんばれ! 原作の為に!
「よ、よぉく考えろよ、シロォオ? どうすべきかをな? お前は……真っ黒なクソガキなんだ。お前がいられるのは厭らしい蜘蛛が這いずり回る此処なんだよぉお」
「いやらしいのはトレスだろうがぁああああああああああ!」
「ほげええええええええええええ!?」
原作だと消え入りそうな声でつぶやくシロさん。キレちらかして吠える吠える。
まあ、原作通りに覚醒する為とはいえ流石にトレスの為の修正改変が雑すぎる。
というわけで、死にそうなというより○しそうな雰囲気のシロさんの怒りを受けて怯む頭領。頭の蜘蛛はびっしょびしょ。
がんばえー、げんさくのためにー。
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