第7話 開門

 悪人要塞をぐるりと囲む城壁の内側、『ゲート』の内側に六人の男たちがたむろしていた。

 それぞれ銃で武装し、一応は警備のていをしているが、この悪人要塞を襲撃する無謀な人間はいまだかつていない。一人たりとも。

 もし仮にいるとしたら、そいつはよほどの愚か者か、命知らずか――いずれにせよ、そいつの運命は死だ。


 だから、侵入者の気配を察知した門番、『不死身のデルクイ』が、カタパルトを使って飛び出して行った時には、彼ら六人の悪党たちは少なからず驚いた。無謀な命知らずがついに現れたかと。


 だが、その命知らずがどうなるかは分かりきっていた。無敗を誇る鉄壁のデルクイを相手にして、無事にこの要塞までたどり着ける者がいるはずがない。


 ゆえに、『ゲート』に備えつけられたインターホンのボタンが押され、ピンポーン! という音が響いた時、六人の悪党たちは少しも疑っていなかった。おっと、デルクイ様のご帰還だ。彼らはゲートを解錠し、開いた。そして、


「誰だ、てめえは?」

「制服に制帽だと?」

「ひいっ! ジュンサーだ!」

「自転車を押してやがる!」

「デルクイは、不死身の門番は殺されたのか?」

「くそっ、ハチの巣にしてやる!」


 六つの銃口が一斉に向けられる。


 しかし、三下どもがジュンサーにかなうはずがなかった。


 次の瞬間、破砕拳銃ローリングサンダーが火を噴き、五発の弾丸が発射された。


「うわあっ!」

「がはっ!」

「ごふっ!」

「ぐはっ!」

「あべえっ!」


 五人の悪党が吹き飛び絶命する。


 この惨状に、取り残された一人の悪党は、しばし唖然とし、すぐに銃を放り捨てると、必死で命乞いを始めた。


「たっ、頼む! 見逃してくれ! なんでもする! なんでも話す! だから、だから、どうか命だけは取らないでくれ!」


 必死で命乞いをする悪党に、ジュンサーは銃口を向ける。


「ひいっ!」


 悪党の顔が引きつる。その悪党にジュンサーはこう命じた。


「駐輪場まで案内しろ」

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