第3話 紅の剣士

「小林ジャンゴ! ボス・オブ・ザ・ボス様にたて突く不届き者め! 度胸があるなら出て来て私と勝負しろ!」

 戸外から声が響いた。

「どうやら君に客のようだな」

 マスターが言う。

「……」

 ジュンサーはカウンターから離れた。




 ジュンサーが外へ出ると、一人の男が待っていた。

 そいつは、燃えるように赤いマントをまとい、燃えるように赤い帽子をかぶり、腰に細身の剣を吊っていた。

 そいつは、敵意もあらわな表情で、茶色い手袋の指を突きつけると、ジュンサーを罵り始めた。

「小林ジャンゴ! われら悪人同盟の邪魔をし、われらが首領の野望を妨害しようとするその所業、かたはら痛いわ! その罪、万死に値する!」

「……」

「貴様にはここで死んでもらう! 悪人同盟所属、怪人番号四番、この剣士バンシー様が、貴様の命を剣のさびに変えてくれるわ!」

 そう言ってバンシーは剣を抜いた。細身の刃が陽光を受けてキラリと光る。

「死ねえええええっ! ジュンサー、小林ジャンゴ!」

 すさまじい速度の踏み込みだった。あたかもそれは突風のようだ。バンシーは八連続の突きを繰り出した。その連続突きはあまりにも速く、八回の突きが一度に繰り出されているように見えた。

 八つの剣先がジュンサーに迫る。驚異的な速さの突きが!


 しかし、それ以上に速いのはジュンサーの手だった。


 破砕拳銃ローリングサンダー!

 次の瞬間、銃口が吼えた。

 剣士バンシーは後ろへ吹っ飛び、辺りに満ちていた剣の光と殺気がかき消えた。

「ぐはあっ!」

 バンシーは細身の剣を握りしめたまま、大の字に伸びていた。

「ぐっ、ぐうっ……くそっ……四大……悪人の……一人……この……剣士……バンシー……様が……瞬殺……だと……おのれ……小林……ジャンゴ……貴様の……その罪……万死に……値……す……る……がふっ!」

 バンシーの手から剣が転がり、バンシーは息絶えた。

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