第4話

 あれから、私はライさんや依都さんと三人で雑貨屋さんにドラッグストアを巡った。


 雑貨屋さんでは私が使う食器類や細々した物を買う。例えば、マグカップや小物入れとか。依都さんは私が好きな色やデザインを小声で訊いてくれた。それに答えながら、二人であーでもないこーでもないといろんな品物を見る。ライさんは辛抱強く待ってくれたが。


「……鷹崎先輩、早くしてください」


「あー、ごめん。井原君、ちょっと待ってて」


 二人はそう言いながらも、私の方に目配せをする。私は気がついて頷いた。


『……依都さん、必要な物はそれくらいです』


「分かった、また足りない物があったらさ。言ってね」


『はい』


 私は再び、頷いた。依都さんはライさんと一緒にレジに行く。付いて行くのだった。


 雑貨屋さんでのお買い物が終わり、最後にドラッグストアに寄る。ライさんは自動車にて、留守番だ。また、二人で向かう。


「……明里さん、何か気になる事があるの?」


『あ、分かりますか?』


「うん、何となくだけどね」


『……私、自分の体がどうなっているのか分からないんです。それがどうしても、気になって』


「……そっか、確かに気になるよね。まあ、ライは男だしなあ。言いにくかったの?」


『何というか、ライさんにも言いたくはあったんですけど。忙しくて忘れていました』


 私が言うと、依都さんは苦笑いする。


「あー、それはそうだね。とりあえず、これで買い物も終わりだから。帰ったら、ライにも言いなよ」


『はい』


 頷いて、私は依都さんと二人で店内に入った。必要な物をまた、買い物カゴにいれていくのだった。


 午後八時半頃に買い物は終わる。ライさんがスマホの画面を見ながら、教えてくれた。ライさん家に着くと、依都さんと二人で買った物を運び入れてくれる。まあ、重たい物はライさんがほとんど持ってくれたが。五回くらい、自動車と家を往復した。


「あー、さすがに疲れた。明里さん、ライ。買ってきた物、仕舞うのも手伝うわ」


「ありがとうございます」


 ライさんがお礼を言う。依都さんは中に入り、スニーカーを脱いだのだった。


 てきぱきと依都さんが私の衣服類を空いていたタンスに畳みながら、収めていく。肌着類もだ。防寒具類はタンスの近くにあったクローゼットに仕舞う。衣服類の片付けが終わると、雑貨屋さんで買った品物も食器棚に仕舞い込んだ。最後に、ドラッグストアで買った生活用品類も同じようにした。


「さ、できたわ。これで明里さんも困らないわね」


『はい、ありがとうございます』


 お礼を言うと、依都さんはにっこりと笑う。


「うん、また来るから。明里さんの体の件は任せて」


『……お願いします』


 頭を下げると、依都さんは慌て出した。


「あ、頭を上げて。あたし、大した事はしていないわよ」


『それでもです、今日は本当に依都さんやライさんのおかげで助かりました』


「……明里さん、とりあえずは体の件はライにも話しといてね」


『はい!』


 頷くと、依都さんは小さく手を振った。そして、家から出て帰って行った。


 私はその後、ライさんに頼んでお風呂に入った。あー、約二日ぶりのお風呂だわ。ざざっと頭や体を洗い、浴槽のお湯に浸かる。ほおと息をついた。


(……体がどうなっているかは依都さんやライさんに調べてもらうしかないかな)


 そう思いながら、お湯から上がる。髪や体の水気を拭いた。


 肌着類を身に付け、依都さんが買ってくれた厚手のトレーナーを着た。裏起毛素材のズボンや靴下も履く。タオルで髪を拭いた後に、ドライヤーで軽く乾かす。乾いたら、脱衣場を出た。


 ライさんにお風呂から上がったと告げた。手短に依都さんに自身の肉体がどうなったのかを調べてほしいと言った事も伝える。


「あー、明里さんの体か。俺も先輩と一緒に調べてみるよ」


『色々とすみません』


「いや、謝罪はいいよ。明里さんが気になるのは理解できるしな」


 ライさんはそう言いながら、ソファーから立ち上がる。着替えを持って彼も浴室に行った。

 私はそれを見送りながら、体に戻れるのはいつなのかと不安を持て余していた。

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