第2話 音の街 メソン

イカつい狩人のような漢に腕を引かれ、着いたのは近くの馬車。

よかった。自分の知っている動物がいた。そう思うのも束の間。

「スピカレート!」漢が唱えた。すると馬から羽が生え始め空に羽ばたいた。

俺は唖然とした。目の前にいる馬から羽が生えたんだ。驚いて空いた口は塞がらない。

「おっしゃ、飛ばしていくぞ!しっかり捕まっとけよ!」

「は、はい!」

確かに早い。さっきの焚き火の後の残った煙がもう見えない。離れてからまだ10秒だぞ?

そんなことを考えていたら「ついたぞ。」

死ぬほどでかい城壁の真ん中に大きな観音開きのドア。門番が2人。アニメとかで出てくる城の入り口そのものだ。漢が門番と話している。なんだか門番が深々頭を下げている。

まあいい。とりあえずこいつに色々案内してもらうか。

「ここはなんて名前の街なんですか?」

「ああ、そういえば言ってなかったな。この街はメソンと言うんだ。そんで俺はオーリーだ。よろしくな。」

「オーリーさん!よろしくお願いします!」

「お前も寝泊まりできる場所がないと不安だよな。先に宿屋に行こう。」

「でも、お金とかないですよ?」

「大丈夫だ。俺が狩った動物たちを売ればそれなりの大金になる。半分分けてやるよ。」

「でもそれじゃオーリーさんの分が…」

「いいんだよ。若い奴にいい生活をさせるのが大人の仕事だ。それに俺は金に困ってないんだ。」

オーリーさんも側から見れば若い人だ。20歳くらいだろう。俺がいた世界なら新卒の人ぐらいの容姿だ。なのに金に困ってない?

もしかしたらオーリーさんも何か能力を持っているのかもしれない。


少し街を歩いた。俺がいた世界で言うなら商店街のようだった。

「ショウテンガイ?なんだそりゃ?店の名前かなんかか?」

声が漏れていたらしい。しかし、商店街を知らないのはおかしい。

「あ、いやそんな大したことでは…」

「まあなんでもいいけどよ。ついたぞ。ここがこれからお前の城になる場所だ。俺はここで待っているから、1人で入れ。」

街から少し離れたのどかな場所に佇んだれんが造りの家だ。しかし…これはなかなか入りにくい。壁もドアも陽の光を反射しピカピカしている。俺が入ることで汚してしまうのではないかと心配になる。意を決して扉を開く。

「失礼しまーす…」


中には誰もいなかった。

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異世界転生狂奏曲 桔梗遥斗 @kikyo_oxo

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