第4章・思いに散る火花

リゼン、足音に気づく


リ「ん、ウェルさん」


ウ「あぁ…誰か来んな。四、五人といったとこか?」


アステリア、騎士団員たち、登場


ア「エレノア様!!」


ゾ「貴様ら、よくも勝手な真似をしてくれたな」


エ「アステリア!…と、貴方は騎士団の団長さん…!?」


ウ「ちっ、騎士団の連中かよ…」


ウェルト、双子とエレノアを背で庇うように立つ


ア「貴方たち、エレノア様に何もしていないでしょうね」


ウ「してねえよ。今は、だけどな」


ゾ「エレノア様、助けに参りました。こちらへ」


エレノア、動かない


カ「エレノアさん…?」


麗「どうしたの、早くこっちに…/


/エ「いやよ」


☆ゾ「は?」


☆カ「え…」


☆麗「どうして」


ア「エレノア様、なぜですか?こいつらに攫われたんですよ!?怖い思いをしたのでしょう?」


エレノア、黙る


ゾ「なぜ、その判断に?奴らに言わされているのなら…」


エ「違う。この人たちは関係ない。…私の意思よ。私は魔法が使えるけど、魔法の復活なんて願ってない。私自身、自分の魔法が大嫌いだもん。だから、この人たちと気持ちは同じなの」


ア「エレノア様、貴女様のお力は素晴らしいものだと伺いました。どうして拒まれるのですか?」


ゾ「魔法は消失した力、今この国のロクザンのほとんどが望んでいる力です。その力が復活すれば、この国は更に発展し、豊かになるでしょう。傷ついた人間を癒し、悩める人間を救えるのは魔法しかありません。我々の魔法があってこそ、人間は生きてこられたはずです。我々は魔法を復活させ、再度この世界を動かしていく必要があります」


カ「ゾルさんの言う通りです!魔法さえあれば、今よりもっとたくさんの人を僕たちの力で助けてあげられます!」


エ「でも、魔法によって苦しめられている人間も/


リゼン、エレノアの肩を撫でながら前へ


/リ「そうだよ、魔法なんていらない。ロクザンが自分たちを偉いって勘違いして、人間を下に見てるのは魔法があるからだ。魔法さえなくなれば差別も力の格差もなくなって、あんたらも俺たちとなんら変わらなくなる。魔法が使えない、ただそれだけで見下されることが、弱いって馬鹿にされることがどれほど辛くて悔しいのか、あんたたちは分かろうともしないじゃないか!」


ウ「ほんとにな。テメェら騎士さんたちはロクザンも人間も関係なく民は助ける、とか言ってやがるが、実際はどうだ?ロクザン優先、ロクザンが先、人間は後。魔法一つで差別して来やがる。俺らが魔法嫌いになる理由わけはテメェらが作ってんだぜ?」


ア「そ、そうなのですか…?魔法は人間を助けてくれるものだって、教えてくれましたよね?それが格差に繋がっているのですか?」


麗「そんなことないわ、もちろん人間も守っているもの」


エ「ほ、本当に?」


麗「当たり前じゃない!アタシたちは騎士なのよ!」


エ「でもこの人たちは…」


ギル「嘘だよ。ボクたちが困ってる時、助けてくれなかったくせによく言うよね」


麗「え…」


ギル「ボクたちが捨てられた時、助けてくれたのはリゼンだった。そこにロクザンはいなかったけど」


ゾ「民の全てを助けることなど不可能だ。それに、魔法も使えず、我々ロクザンに守られるだけの人間よりも、魔法を操り、未来に役立てるロクザンを保護することが優先なのは当たり前だろう。そんなことも分からない人間がいるとは予想外だった」


麗「ゾルくん、それは言い過ぎよ。確かにロクザンの方が優先だけど、事態が大きい時は人間だって助けるでしょ?ねぇ?」


カ「はい!」


ゾ「魔法をいくら憎んでいようと、魔法で周る世界の中で生きていたくせにそのような口が叩けるとはな。貴様らのように、何もできない弱い生き物であるのに口だけは達者な愚か者がいるから、いつまで経っても人間は格下なのだ。立ち場を弁えろ」


ウ「あーはいはいそうかよ。ロクザンのそう言うとこ、本当に気にくわねえんだわ。そんなあからさまな差別思考のやつがトップにいりゃ、そら人間を見下す団員で溢れかえるだろうよ。なァ?アンタ」


麗「それは…!!」


エ「私は!!ロクザンだから、とか人間だから、とかその格差を無くしたいの。魔法がなくなれば、ロクザンも人間も大して変わらないし、そこに差別は生まれない。そうでしょ?」


ア「エレノア様…」


ゾ「…格差をなくし、平等な世界にする…エレノア様のご意向はよく分かりました。しかし、そう簡単にはいかないのです」


エ「え…」


ゾ「魔法が消えたことによって、理論上の格差は無くなりました。しかし、魔法がなくては立ち行かないこともございます。人間には不可能なこと、危険なこと、けれども必要なこと。それらは我々ロクザンの魔法で補っていたでしょう。病の治療や食物栽培の促進も、魔法があったからこそです。魔法が消失した今、それらは滞り、悩む人間たちがいます」


ウ「おい適当なこと言うんじゃねぇ。魔法がなくなったことで職につけたやつもいる。悩んでなんかねぇよ」


リ「魔法でやってたことを、魔法無しでもできるようにならなきゃいけないんじゃない?魔法に頼りっきりの世界は、ロクザン無しじゃ成り立たなかったも同然だ。あんたらは自分たちがいらないものになるのが怖いんだろ、だから人間にはロクザン頼り、魔法頼りでいてくれなきゃ困るんだ」


麗「そんなこと、考えたこともないわ。思い込みだけで喋らないでもらえる?」


ギル「上辺だけならなんとでも言えるよね」


ギビ「思ってもなくたってねー!!」


カ「エレノアさん、貴女の力で人間を救い、世界も救えるかもしれないんです。どうか、その力で僕たちに協力してくれませんか?」


エ「で、でも」


リ「エレノア、そいつらの話なんて聞かなくていいよ」


ウ「こいつはテメェらにはついて行かねぇよ。じゃ、そういうこった、騎士さんたちはさっさと城に帰りやがれ」


ゾ「ここで引き下がるわけがないだろう。我々はエレノア様を保護するためにここへ来たのだからな」


ウ「はっ、『保護』なんて、外面だけはほんとに良いよな。そりゃ、魔法が使えるロクザンなんてテメェらからしてみりゃ思ってもいねぇ幸運だもんなぁ?」


カ「そんな言い方ないですよ!」


リ「もういいよ。あんたらが人間に対する態度を変える気がないことはよく分かった」


リゼン、エレノアに短剣を向け、首に腕を回す


エ「え…!?」


ア「エレノア様!!!」


アステリア、前へ


ゾ「馬鹿者!人間ごときが前に出てどうする!!」


リ「結局ロクザンなんて、皆自分勝手で魔法が全てだと思い込んでる。コイツだって心の奥ではそう思ってるだろうし?」


エ「思ってない!私は本当に格差を無くしたくて…!」


リ「格差無くしたいんだったら、まずは最後の魔法を持ってるあんたが死ぬべきなんじゃないの?」


エ「え…」


ア「エレノア様を離して!!」


リ「は?何あんた」


ア「自分はエレノア様の従者です!そのお方に何かしたら、絶対に許しません!!」


リ「へぇ、やっぱりあんたもロクザンにこき使われてるんだ。かわいそーに、本当はあんたもこっち側だったりして」


ア「ふざけないでください!主人に危害を加える人たちの側に回るわけがないでしょう」


リ「あっそ。つまんないの」


リゼン、短剣をさらに近くへ

リゼンはエレノアの首に腕を回し、抱え込んでいる


エ「きゃっ…!!」


ゾルテノ、リゼンへ攻撃(剣)


リ「はは、こっわ」


リゼン、かわす


ゾ「人間風情がロクザンに刃物を向けるなど…!!」


麗「彼女を渡しなさい。こっちは騎士なのよ?アタシたちとやったところで、アンタたちに勝ち目はないわ!」


ギビ「すごーい!!自分たちが絶対勝てるって自信満々だー!!」


ギル「そういう発言を平気でするところ、本当に嫌いだな」


カ「エレノアさん!!」


エ「怖い!!助けて…!!」


リ「あんたの望む格差の無い世界にするには一番のやり方だと思うけど?」


ゾルテノ、リゼンに斬りかかる


ゾ「彼女はこの世界に必要なお方だ。彼女を渡せ…!」


リ「くっそっ」


リゼン、ちょっと押されて膝をつく


ゾ「貴様はロクザンだろう。なぜ人間共の肩を持つ?」


リ「何言ってんの、当然でしょ。俺だって人間と変わらない扱いを受けてたんだから。あんたたちからさぁ?」


ゾ「どういう意味だ」


リ「俺は、魔法が使えなかった」


ゾ「は?」


↓言いながら立ち上がる

リ「ロクザンが人間を差別すんのは昔から知ってたよ。でも魔法が使えないなら、たとえロクザンであっても扱いは酷かった」


ゾ「魔法が使えぬロクザンなど聞いたことがない」


リ「俺は、人間とロクザンの混血だ。だからじゃない?知らないけどさ」


ゾ「混血…?」


リゼン、瞬時に斬りつける


ゾルテノ、かわす


リゼン、追撃


リ「あんたらに分かるか?魔法は使えないくせに、寿命の長さだけは受け継いだ俺の気持ち」


ゾルテノ、ちょっと押される


ゾルテノは少し後ずさり、そこにリゼンは足を目掛けて蹴りを入れる


なんとか持ち堪えるゾルテノ、そこにもう一発、今度は体目掛けて蹴る


後ずさり、しゃがみ込むゾルテノ


リ「剣ばっかり強くたってダメだよ。俺みたいに卑怯なやつだっているんだから」


ゾルテノ、立ち上がる


リ「そんなんだから、あの人のことも守れなかったんじゃないの?」


ゾ「…なんのことだ」


リ「あの時は残念だったね。時代が悪かったよ。戦乱の世で弱いやつなんかに惚れるからだ」


ゾ「黙れ…!貴様に何が分かる!」


リ「ははっ」


ゾルテノ、リゼン、また戦う


麗「…ねぇ、なんで敵対してるの。なんで帰ってこないのよ」


ウ「やっぱり何も知らないままじゃねえか」


麗「知りたいと思ってる」


ウ「今更言われたところでもう遅ぇんだわ。アンタに教える義理はねえよ」


リ「ちょっとウェルさん邪魔かも」


ウ「あ゛?」


リゼンとゾルテノ、ウェルトと麗の元へ


麗「ちょ、ゾルくん!」


麗、リゼンの腕を目掛けて撃つ


リ「うわっ」


ウェルト、リゼン(エレノア)を庇う


ウ「ったく、危なっかしい野郎だな」


リ「ありがと」


双子、麗とカルネラを攻撃


本格的にエレノアを奪い合って戦闘開始


カ「エレノア様、アステリアさん、こちらに!」


エ「え…」


ア「エレノア様…」


麗「早く!」


ウ「話のわかんねぇ連中だな!」


ウェルト、カルネラへ攻撃


麗「ウェルト!」


麗、戦闘体制


ウ「そいつはついて行かねぇっつってんだろうが!連れてくなら今すぐそいつを殺す」


ア「そんなこと…!」


カ「希望を殺すなんて…そんなこと許されません!」


麗「彼女は騎士団で保護するわ。アンタたちがどうこうする話じゃないのよ!」


エ「アステリア…どうしよう」


ア「エレノア様、こちらへ…!」


エ「え…」


アステリア、エレノアを連れて逃げる


ウ「あ、おいテメェら!」


二人を追おうとするウェルト、麗が止める


麗「行かせないわ。カルネラちゃん!」


カ「はい!」


ウ「双子!」


追おうとするカルネラ、双子が遮る


ギビ「ストップストーップ!!オマエの相手はアタシたちだよ!」


ギル「悪いな」


リ「逃げられたか…!」


リゼン、追いかける


ゾ「行かせるわけがないだろう」


ゾルテノ、リゼンを追う


リゼンとゾルテノ、戦いながら後方へ

そのままはける


他のキャラたちも戦いながらはけられるといい

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