実際につくる

①全体のイメージを考える

 ここからは「実際につくる」工程を、注意点などを踏まえながら説明していきます。


 最初は「どんな本にしたいか」から考え始めます。

 基本的には、

  1)サイズをどうするか

  2)カバーをつけるか

  3)表紙や本文の体裁をどうするか

  4)印刷会社に印刷を依頼するか、コピー本にするか

 などです。



1)サイズをどうするか

 個人が制作する小説本で多く流通しているのはA5、A6(文庫本)あたりのサイズかと思いますが、いままで私が購入した小説本のなかにはB5や正方形のものもありました。

 手に持ったときの印象や好み、本文の長さ(※1)などで検討してみるといいと思います。



2)カバーをつけるか

 カバーについては完全に好みかと思います。カバーがついているほうが商業本っぽくて、カッコいいですよね! ただし費用と制作の手間はそのぶん割増になるので、時間と労力と費用を確保してから検討するのがオススメです。



3)表紙や本文の体裁をどうするか

 表紙や本文は、本にする際にいちばん考えていて楽しいところかと思います。ここは自分がやりたいと思うことを全部やる気持ちで、オンリーワンの本をイメージしてください。


 なかには、「表紙に箔押しをいれて豪華にしたい!」「本文の色を章によって変えたい」など、小説のイメージによってサイズや体裁、仕様を工夫したい方もいらっしゃると思います。


 そんなときは、なるべく自分の要望やこだわり、譲れない事柄をテキストや絵で書き起こしておくといいと思います。コピー本ではなく印刷を依頼する場合、印刷会社さんに「こういう感じにしたいのですが、できますか? 見積はどうなりますか?」と質問しやすくなるためです。また、印刷会社さんも「とりあえず豪華にしたい!」などと抽象的に伝えるよりもイメージを共有しやすくなり、認識のずれがおこりにくくなると思います。(※2)



4)印刷会社に印刷を依頼するか、コピー本にするか

 上記のように、こだわりの本を作りたい、または無線綴じ本(商業本のように本文用紙を表紙でくるみ、背表紙部分に接着剤をつけて綴じた本)にしたいという場合は印刷会社さんに依頼するのが一般的です。

 手間がかかってもコストをおさえたい、ページ数が少ないという場合はコピー本が良いと思います。ちなみに、コピー本のように紙を2つ折にしてステープラー綴じる綴じかたを「中綴じ」といいます。



 以上の4点が考えられたら、次のステップに進みましょう。



 今回、わたしは下記のような仕様で小説本を作りました。


  1)サイズをどうするか→A6(文庫本サイズ)

  2)カバーをつけるか→なし

  3)表紙や本文の体裁をどうするか→後ほど説明

  4)印刷会社に印刷を依頼するか、コピー本にするか→印刷会社に依頼


 本エッセイでは、この仕様に沿って説明していきたいと思います。




※1:本文の長さによっては、分厚い文庫本サイズよりも、A5サイズで二段組にするほうが読みやすいかもしれません。お持ちの商業誌などを参考に、本文の体裁とあわせて最適なサイズ感を選んでください。


※2:あまり印刷や特殊な加工に詳しくない、という方は、思い切って印刷所さんに「豪華にしたいんですけど」と抽象的にお願いするのも手です。印刷所の方はプロフェッショナルなので、「じゃあこういう加工はいかがですか?」「遊び紙を入れることもできますよ」「こういう仕様で本を作られた方もいますよ」などと提案してくださると思います。印刷所さんに相談したいときは、時間に余裕をもって相談しましょう。

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