それは初日の出よりも眩しくて
――新年明けましておめでとう。今年もよろしく。
ラインのスタンプも絵文字もない、シンプルなメッセージ。それでも日付が変わるのと同時に送ってくれたことが嬉しくて、私たちはちゃんと恋人なんだと、好いてもらえているんだと実感する。だから私は、ちょっとだけわがままを言ってみた。
『明日、ご迷惑でなければ会いたいです。初詣に行きませんか?』
メッセージを送ったあとに、本当は明日じゃなくて今日なことに気付く。どうしよう、今から訂正をしてもいいだろうか。やっぱり、わがままなんて言うものじゃないんだ。それよりもこのメッセージが既に迷惑をかけていて、嫌われたらどうしよう。
スマホを片手におろおろしていると、ポンとメッセージを受信した電子音が鳴った。恐る恐るスマホを操作して、受信したメッセージを見る。
『いいよ。今から迎えに行く』
明日が今日だったこと、わかってくれたんだ。もうそれだけで嬉しくて、私はふら~っとベッドへ倒れこむ。今から……迎えに来てくれる……。私は何度もこの短いメッセージを読み返した。スクショしちゃおう。
……って、今?!
勢いよく起き上がり、今度は違う意味でメッセージを何度も読む。え、嘘。早く着替えなきゃ。メイクもしなきゃだし、まず髪の毛を乾かさなきゃ!
「どうしよう、やだ……早く準備しないと!」
大和さん、たぶん車で来てくれるから三十分もあれば私の家に着いてしまう。優しい大和さんはきっと準備が出来るのを待ってくれるかもしれないけど、寒い中外で待ってもらうなんてできない。なら家の中で待ってもらえばいい話だけど、こんなだらしない姿も見せられない。やっぱりわがままなんて言うんじゃなかった! 大和さんの優しさにつけこんだことを反省しながら、私は出掛ける準備を始める。
少ししたあと、『道が混んでて遅れる』というメッセージが来て心の底から安堵したのは大和さんには内緒の話だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます